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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

「世の中のCMがこんなだったらいいな」100:100理論でアイデアを考える訓練を

村田俊平氏(電通)

    テレビCMの極意

    ☑自覚的に複数の視点を持つ。

    ☑型に囚われず「世の中のCMがこんなだったらいいな」と思うものを考える。

    ☑登場人物を記号として考えず、人格を持たせてみる。

発想「法」を複数持つ「100:100理論」

「CMプランナー」を名乗り始めて10年もの時間が経ってしまいました。さすがに「若手」の詐称も限界がきましたので、今回は、中堅なりにCM企画のコツみたいなことを書いてみたいと思います。ただ、私も実感として「CM企画」という領域の中で4割くらいのことがやっとわかってきたかも、というくらいなので、日々企画に悩むのはCM初心者のみなさんと変わりません。

CMの企画については、過去にも書籍がたくさん出ていますし、ネットで調べても「基礎」はいくらでも出てくると思いますが、ここでは自分の過去を振り返りながら、「企画のコツ」について書いてみたいと思います。それが教科書とは違う、実際の「CMプランナーとして生きる術」だったからです。

入社3年目くらいまでの私は1年に1本企画が通ればやっとくらいの打率でした。とんだ給料泥棒もいいところですが、面白い企画を考えたい、しかしそれは通らない、当てにいっても選ばれないという地獄の悪循環の状況です。それを打破するために辿り着いたのが、「100:100理論」です。「CDが言っていることや、クライアントが求めていることはこういうことだろう」という、いわゆる「当てにいく」アイデアを村田ひとり分考え、今度は「自分がやりたいと思うこと」を迎合せずにまた別のアイデアを村田ひとり分考える。打ち合わせに後者だけ持っていくと叱り飛ばされ、前者だけ持っていくとつまらない若手だと思われるのですが、それぞれが充足していれば、「わかっているし面白いやつ」というポジションが手に入ります。「50:50」ではどちらの方向も生煮えのアイデアになってしまいます。

人はアイデアを考えている限り、この2つが完全に分断されることは稀で、切り離して考えてもグラデーション部分があります。そこにある企画が良い企画であることもあるし、相互の発想が影響しあって、弁証法的にいいアイデアになることもあります。何より、まったく違う方向から企画に取り組むことは網羅的にアイデアを考える良い訓練です。要は、自覚的に複数の視点を持って企画していくと発想自体がさまざまなところから生まれるということです。企画の量も2倍になるので相当に疲れましたが、発想の射程を広げることができたし、企画のスピードも上がります。

あなたのいい企画はみんなのいい企画

さて企画のコツを掴んできた私ですが…

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