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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

宣伝担当者が知っておきたい、データ利活用の第一歩

野口真史氏(ヤフー)

    データ利活用の極意

    ☑データ活用に必要な3ステップを理解する。

    ☑適切にデータを取得するスキルを身に付ける。

    ☑日々のあらゆる業務に生かすという意識を持つ。

個人レベルでも理解したい データ活用で必要な3ステップ

私は前職のLIFULLでデータビジネス事業の立ち上げに関わり、また現在はヤフーのビッグデータ分析ツールなどを提供するデータソリューション本部に所属しています。今回はデータ活用に関する基本と、身に付けておきたい領域について、マーケティング新任担当者向けにお伝えしていきます。

組織のデータ戦略において重要なのは、「データを“増やす”」「データの価値を“高める”」「データを“使う”」という3つのステップです【図1】。これは仕事や職種などを問わず通じることだと思います。また、組織と言いましたが、これは個人で取り組む場合でも同様で、この3ステップを意識することが重要だと考えています。

図1 データ戦略に必要な3ステップ

そして、さらに大切なのは3ステップの前にある、つまりは0ステップ目となる、「データを活用する目的を理解すること」です。いま自分は何をしたいのか。組織として、何を求めているのか。データ分析の方向性を見失わないために、まずはここを明確にしてください。

では、次にそれぞれの段階について、説明していきます。

1.データを増やす

まずデータを収集し、手元にある情報の量と種類を増やしましょう。

例えばマーケティング領域に特化すると、売上を伸ばすためには大きく「新規顧客の開拓」か「既存顧客の伸長」の2パターンがあります。

ここでどちらを重視するかによって、ターゲットも変わりますし、見に行くべきデータソースは変わってきます。

新規顧客開拓の場合、そもそもお客さまになっていない人たちが分析の対象。市場のデータや世の中にあるインサイトを収集しますが、これは会社の外にあるデータです。専門会社からの購入や、アンケート調査などがこれにあたるでしょう。

一方で、既存顧客の中で売上げを拡大できる余地があるならば、販売データや顧客リストを基に分析を進めます。

また、データを活用する段階によっても異なります。例えば戦略レイヤーにおいては、今後商品をどこに向けて売るか、どれくらい売上が見込めるかを予測します。その際には統計化されたデータが必要です。

一方で実際に広告を出稿する、商品を販売するという実行レイヤーでは、粒度の細かいデータが求められるでしょう。ターゲットとする消費者に対して、刺さるかどうかを知りたいのです。例えばリターゲティングするための販売情報や顧客リストといったミクロなデータが必要になるでしょう。

2.データの価値を高める

次に、1で集めたデータの価値を発揮できるように、使いやすく整備する必要があります。目的に応じ、必要な情報を取捨選択していきましょう。

データを見る作業は、それ自体が大変楽しいことです。それゆえに、目的からそれて、時間を使いすぎてしまうことも往々にしてあります。

例えば、新企画のアイデア探しをするときに、ビッグデータを網羅的に見る「探索的なデータ分析」をする場面もあると思います。こうしたときにも、常に狙いを定めること。カテゴリを絞ってみる、期間を絞ってみる、5年前と比較してみる…など、何かしらの狙いが前提としてあるべきです。

特にマーケターにとってはデータ分析は目的ではなく手段にすぎませんので、ここでも0ステップ目の「何のためのデータか」という視点を忘れないようにしましょう。

3.データを使う

最後に、増やして...

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