ダイレクトメールのクリエイティブの極意
☑DM活用の理由と目的・課題を明確にする。
☑共感を呼ぶアプローチで読み手に強い印象を残し、心理変容や行動喚起に寄与する。
☑デジタルではできない体験を促すギミックを検討してみる。
有形物が届く特性を生かしたデジタル時代の切り札
アナログメディアの代表であるダイレクトメール(以下DM)は、手元に有形物が届くアナログ独自の特性を生かして、申し込みや集客の獲得に限らず、近年では、オフラインからオンラインへの橋渡し、ブランディングや顧客との関係性の構築、さらにはLTV向上への貢献などでの活用が奏功しています。そこで、デジタル時代に切り札として活用したいDMやカタログのクリエイティブ設計の基本を紹介していきます。
ダイレクトマーケティングの基本は、絞りこんだターゲットの心理を捉えて行動の変化を促すこと。ターゲットのレスポンス結果こそがクリエイティブの良し悪しを決めるとも言えます。それゆえ、いきなりクリエイティブを企画するのではなく、DM活用の理由と目的・課題を明確にすることから始めます。その上で、クリエイティブ設計に入る前の下準備を行います。考えるべき準備を以下に列挙します。
・想定ターゲットの洞察
一人ひとりに届くDMなので、ターゲットの洞察は大変重要です。年齢・性別・居住地などのデモグラフィック面にとどまらず、心理面において、商品・サービスと絡ませてのターゲットの関心事、社会や環境、商品への関与度・理解度、他メディアとの接点、競合との関わり、さらには、悩みやニーズなどを当事者の気持ちになって探っていきます。読み手の「顔」や「心」を把握し、隠れている願いや悩みを紐解くことで訴求点を発見しやすくなります。
・ベネフィットの発見と絞り込み
ターゲット洞察で導いたインサイトに沿ってベネフィットを抽出します。競合商品との差別化点もあれば、商品の開発の経緯、製造過程、アフターサービスなど、商品にまつわる背景やサポートも含めて挙げてみます。またターゲット視点で、悩みやニーズを解決する、あるいは新たな気づきがありそうなベネフィットにも目を向けます。最終的に、商品を手にすることの意味や価値として、読み手に自分ゴトとして感じてもらえるベネフィットを選んで、テーマを設定していきます。
・行動喚起のためのオファーを用意
オファーとは特典を意味しますが、プレゼントや割引などお得な提案をすることに限りません。価格割引、送料無料、サンプル、ロゴグッズなどがありますが、心理的なオファーとして、コンサルティング、わかりやすい説明、アンケートの集計結果など様々なものが考えられます。ターゲットを行動させるためのフックとなるか、目的にあわせて気持ちを転換させる役割を持たせることが大切。受け取って嬉しいオファーを複数考えるのがポイントです。
・レスポンスデバイスと行動のゴール設定
レスポンスデバイスの設定は、電話、返信ハガキ、FAX、WEB、スマホ(二次元コードの記載)など、クロスメディア誘導が必須です。また行動のゴールとして、申込数やアクセス数など、レスポンスの目標数値を設定しますが、行動と心理の両面からどのような心理変容や行動変化を促したいのかも考えます。
例えば、カタログを保管して必要時に閲覧、ツールを机上に飾る、他の家族へ商品の推奨、ファン化など。最近ではサプライズがあるDMを届けて、DMをトリガーにSNSでの共有を促す仕掛けも盛んです。二次元コードのアクセス先に専用コンテンツを用意しての橋渡しも考えられます。偶然の結果に頼るのではなく、読み手に起こしてほしい行動を事前に想定しておきます。
・どのDMタイプやツールを採用するか
DMは大きく分類すると、圧着ハガキや大判ペラ、封書、箱型に分けられます。どのタイプを選ぶのかは目的、顧客との関係性、伝えたい情報量、予算によって決めていきます【表1】。圧着ハガキや大判ペラは、開封のステップがなく、手元に届くことでメッセージへの気づきを促し、気軽に読めるのが利点です。
一方、詳細な説明や丁寧なコミュニケーションを要する場合には、レター、カタログ、申込書・返信用封筒、オファーなどを封入できる封書タイプを採用します。封書は定型と定形外がありますが、カタログを折りたくない、目立たせたい時などは、大判にする方法もあります。
さらに優良顧客やBtoB向けには、箱型を用いてのハイエンドなコミュニケーションも効果的です。
アナログの良さを生かすクリエイティブとは?
下準備を終えたら、クリエイティブの企画・設計に入ります。アナログのメリットを生かし、デジタル時代に有効なクリエイティブ表現や留意点を6箇条にまとめました。【表2】と合わせて、企画・設計時のチェックポイントにしてください。
①共感を呼ぶテーマでストーリーを繰り広げているか。
カタチあるDMは、ターゲットの悩みを...