江崎グリコ(以下、Glico)は、アメリカで開催された「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2018」に初出展するなど、テクノロジーを既存事業に取り入れることで、今までにない新しい顧客体験の提供に取り組んでいる。テクノロジーの潮流を踏まえてGlicoが取り組んだ事例を、同社の玉井博久氏が解説する。

PockyK.O.とは、自分の体力ゲージをPockyのように見える状態で相手をK.O.すること。
スポーツテックの進化に、eスポーツの可能性が見えた
2019年1月に開催された「CES2019」で、私が未来の兆しを感じた1つがスポーツゾーンでした。アスリートのトレーニングやパフォーマンス向上を支援するAI、光学追跡技術、バーチャルリアリティ、そしてシミュレーションゴルフのように実際に体を動かして体験するテニスや野球、さらにはBOTと対戦するボクシングなど。多様なスポーツテックおよび没入型メディア(VRなど)が登場していました。
こうしたスポーツテックの進化により、拡大が予想されるのが、eスポーツです。これまで私は、eスポーツとゲームを同義にとらえていたのですが、実際に体を動かしながら体験するゲームが今後さらに進化していくことを考えると、eスポーツは、いわゆる私たちが考える、画面に向かってコントローラーを動かすザ・ゲームではなくなり、e空間(バーチャル空間なのかもしくは全く新しい没入型の空間)でスポーツをする(実際に体を動かす)というものになっていくと感じるようになりました。
「CES2019」で感じたeスポーツの兆しを受け、「Pocky」をeスポーツに参入させることにし、カプコン様から販売されている対戦格闘ゲーム『Street Fighter V』とのグローバルコラボレーションキャンペーン『Pocky K.O. Challenge』を始めることにしました。「Pocky K.O.」とは、"自分の体力ゲージを「Pockyのチョコレートとビスケットの比率」の状態"で相手をK.O.すること …