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私の広告観

広告や言葉が、『耐えられない』若者を振り向かせる (清水文太さん)

唯一無二の感性をあらゆる領域で発揮し、大きな注目を集めている清水文太さん。アートディレクションやスタイリングなどの仕事のほか、音楽活動にも新たにチャレンジする清水さんがクリエイターとしての“現在地”を語る。

清水文太(しみず・ぶんた)氏
19歳の時、水曜日のカンパネラのツアー衣装を手がけ、モデルとしてもdoubletやDolce&Gabbana、MIHARA YASUHIROのショーに出演。その他「装苑」やウェブマガジンでのコラム執筆、渋谷TSUTAYAでのデザインディレクション、ギャラリーでのアート展示などを開催。鈴木えみやスチャダラパーBose、千葉雄大などのスタイリングを手がける。88risingレーベルに所属するJOJIとエアアジアのタイアップ映像では、ダンサーとして参加。アーティスト・クリエイターとして、多岐にわたる活躍を見せている。2019年11月、1stアルバム「僕の半年間」をリリース。

これまでの経験のすべてが自分の表現ツールとなる

自分は何をすべきなのか考えながら青年期を過ごした清水文太さん。テレビCMに出演した際の縁を辿って、19歳のころ、アーティストの水曜日のカンパネラのコムアイさんのツアー衣装をスタイリングしたことは、いまや清水さんを代表する仕事のひとつとなった。現在はスタイリストとしてファッション界で活躍する一方で、モデルやアートディレクター、音楽クリエイター、コラムニスト、さらには企業の新規ブランド開発など、型にとらわれずに様々な領域で才能を発揮している。

「ファッションに関しては演者(モデル)と裏方(スタイリスト)の両方を経験してきたし、コラムの執筆や音源制作に関しても培ってきたものがある。それらすべてが僕自身にとって表現のツールとして蓄積されていて、だからこそ僕にアートディレクションのオファーが来るのではないかなと思っています」。

これまでの経験のすべてを注ぎこみ、初めてアートディレクションに挑んだのが、2019年の夏に公開されたユナイテッド カラーズ オブ ベネトンの新しい世界観を表現したデジタルスタイルブック『Benetton Rainbow Machine -Tokyo Edition-』だ。

モデルにはインフルエンサーが多くアサインされたことから、最初は頭を悩ませたという清水さん。インフルエンサー色が前面に出てしまうと、見る人はそういう企画なのだと初めからラベリングしてしまい、表現したかった服の本質に目を向けてもらえなくなるのではないかと考えたからだ。

そこで、名前を載せるわけでもなく、フォロワー数なども関係なく、すべてのモデルを“フラット”に載せることに。インフルエンサーマーケティングやステルスマーケティングだと見透かされてしまう時代、その方が「楽しいし、結果的にプラスになるだろう」と考えたからだという。

同時に制作したブランドムービー用の音源は、かねてからアーティストとして活動を始めたいと思っていた清水さんが自ら名乗りを上げてつくった …

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