言葉について正面から向き合い、コピーを考えぬいた応募期間の2カ月間は、その後の若手コピーライターのキャリアにどのような経験として残るのでしょうか。第33回「宣伝会議賞」でグランプリを受賞し、現在ではコピーライターとして活躍する傍ら「宣伝会議賞」の審査員も務めている石田文子さんに聞きました。
―当時、「宣伝会議賞」にどのような思いで挑戦していたのでしょう?
応募していた当時は、まだ仕事をはじめて間もない頃でした。名刺にこそコピーライターと書いてあるものの、コピーに関して自信がなく「この肩書きを名乗っていいのかな」という不安がありました。「宣伝会議賞」に応募していたのは、自分の実力を確かめたいという気持ちがあったからです。
―受賞した際のエピソードをお聞かせください。
受賞の電話をもらった時は、もちろん嬉しかったのですが、受賞したのは自信があった作品ではなく、考えに考えた結果、最後の方にポロッと出たコピーでした。「え、あのコピーが?」という感じ。なので、応募者のみなさんも上手く書けたと思うコピーより、自分らしさが出せた、楽しく書けたと思える作品があったなら、期待してもいいんじゃないかと思います。
「宣伝会議賞」では、受賞と同時にコピーを見る目、良いコピーを"選ぶ能力"をもっと鍛えなければいけないと気づかされました …
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