産業界におけるAI活用が浸透しつつある中、広告界でもその導入が始まっている。広告賞にも通用するコピーを生成し始めた、AIコピーライターの「AICO(AI Copywriter)」の開発にも関わる静岡大学の狩野芳伸氏に今後AIもコピーライターとなるのか。現状を分析し、今後を予測してもらった。
AIコピーライター「AICO」その実力とは?
私は人間の言葉をコンピュータで扱う「自然言語処理」分野の研究者であり、コピーライターではないのですが、「AI時代のコピーライターの仕事術」ということで、まずは「コピー」をお題につくってみました。
・「さすがに無いよね」が、あるコピー。
・愛とコピーは、コツコツ育むのが本物です。
・コピー選びは、人生選びだ。
…素人にしては案外上手でしょうか。結構いけますか?記事タイトルや私の名前ですでにお気づきかもしれません。そうです、これらのコピーは私が自分で考えたのではなく、我々のキャッチコピー自動生成システム、「AICO」がつくりました。ボタンを押して数秒、大量に生成されたコピーから私の趣味で選ぶのに数分というところです。
「AICO(AI Copywriter)」は、私の研究室と電通の研究協力により生まれたシステムで、社内ですでにさまざまな案件で運用、出稿されています。「新聞広告クリエーティブコンテスト」(日本新聞協会主催)や「SCCしずおかコピー大賞」(静岡コピーライターズクラブ主催)などでファイナリストに残り、国政選挙の啓発コピー生成なども行いました。
新潮社では小説『はるか』(宿野かほる著)のプロモーションのため、「AI vs.編集者 コピー対決」を実施し、AICO生成のコピーと人間のコピーを区別できるか、2択で一般参加者にチャレンジしてもらったところ、ほとんど区別ができない結果になったそうです。
研究においては常に、安定した定量的な評価ができるかが重要なポイントになります。生成したコピーの評価基準は、まずは日本語として成立するかどうか。次に、人間が書いたコピーと見分けがつくか。そして、「良い」コピーかどうか、が妥当だろうと考えています …