緻密なデータを基に一人ひとりの消費者を深く理解し、ワントゥワンのマーケティングが実現できれば、消費者にとっても有益な環境が実現するのではないか…。その実現に至るまでには消費者の理解や納得を得ることが不可欠。産業界は今、データの利活用においていかにして社会の合意と理解を得ていけば良いのか。
カメラ画像データを活用しての分析や雰囲気センサーの活用など、次々と新しいデータトレンドが生まれてくる現代。しかし、日本の産業界においては、データ利活用はまだ進んでいない状況がある。
その理由は大きく2点あるとデータ流通推進協議会で理事を務める杉山恒司氏は話す。
ひとつは、データ利活用において制度的な枠組みがないこと。データを提供する消費者としては、データが本来の目的とは異なる想定外の利用をされてしまう可能性や、提供したデータがどのような品質で活用されるのかが分からず、心理的な抵抗感が生まれてしまう。
一方で、データ流通事業者にはそれらのデータをどう扱うのかといった透明性や公平性、中立性が求められるが、現状では制度的な枠組みがないため、企業はリスクを恐れてデータの利活用に積極的になれないのだ。
もうひとつが技術的な課題。多様なデータから、その企業にとって必要なものや、価値のあるデータを選び取って円滑にマッチングするための技術力が現状では不足してしまっている …
あと57%