パーソナライズが進む時代に 広告、メディアはどこへ向かう?
前職ではLINE 上級執行役員 法人ビジネス担当として、広告事業の拡大に尽力した田端信太郎氏が、2018年3月にスタートトゥデイに移籍し、ZOZOTOWNおよびプライベートブランドZOZOのブランディングやコミュニケーションデザインを担当している。メディア側から事業主側へと立場を変えた田端氏は、今メディアや広告に何を思うのか。
マスとデジタルの関係性を考える際、その多くが対立構造や優位性の問題として語られる。だが、クリエイティブディレクターの小霜和也氏は「両者は対立なんてしていない」と指適する。小霜氏が考えるデジタル時代のクリエイターのマインドセットとは。
小霜オフィス/no problem LLC.
Creative Consulting/Creative Direction/Copywriting
小霜和也氏
1986年東京大学法学部卒業、同年博報堂入社。1998年退社。現在小霜オフィス/no problem LLC. 代表。2018年4月より内閣府政府広報アドバイザー。クリエイティブディレクター コピーライターとしてマス・Webを統合する広告キャンペーンに携わる一方、企業のクリエイティブ・コンサルティングにも従事。
デジタル時代になったことで大きく変わるもの。それは価値化の手法だと思います。「商品価値」という言葉からほとんどの人が価値はモノにくっついているとイメージしていますが、価値とは人の心の中に生まれるものです。
例えばここに「白い皿」があるとしましょう。「これは灰皿です」と言えば、灰皿になります。すると、タバコを吸う人には価値が生まれ、吸わない人には価値がなくなる。ではどう言えば最も利益につながるか?これこそが従来型のマーケティングであり、広告コミュニケーションの根っことなる考え方だったと思います。
ところが、デジタル時代においては「ワントゥワンマーケティング」の実現が可能になりつつある。そうなったら、タバコを吸う人には「灰皿だよ」と伝えれば良いし、刺身が好きな人には「刺身皿だよ」と伝えれば良いわけです。
こうした考え方は、商品やサービスのすべてに言えることです。これからは商品価値をひとつに決めず、相手によってマルチに伝え分ける時代。それが広告コミュニケーションにおける大きな変化ではないかと思います。それに伴い、これまでの広告のつくり方がガラリと変化していくことでしょう。
今後はクリエイティブそのものの評価が変わると思います。そしてクリエイティブディレクターの仕事の範疇も明らかに変化するはずです …