各社の広報部門の責任者が、反響の大きかった広報施策を教えてくれた。その事例から、社会の関心への寄り添い方や、目的・ターゲットに即した手法選びなどが研究できる。自社とは異なる業界の施策もヒントになりそうだ。
不動産・建設
積水ハウス
反響の大きかった広報施策
積水ハウス建設採用大幅強化
実施時期:2023年5月
目的:“住宅技能工”の職業的魅力を伝えること
ターゲット:高校生の子を持つ親、及び高校の先生

現場で働く若手が仕事の魅力語る
高校からの問い合わせも
2024年問題は物流のみならず、建設業界にも影を落としている。住宅建設の現場でも施工人財の確保は喫緊の課題。社会課題に対し、今回は高卒の“住宅技能工(実際に現場で働く社員)”の採用を強化するだけでなく「お客様の住まいをつくる」「ありがとうと言ってもらえる」といった住宅技能工の職業的魅力をアピール。
実際の現場で働く若手技能工が登壇し仕事の魅力を語ったことで、採用シーズンを前にテレビの全国放送をはじめ、多くの注目と露出をいただいた。また全国の積水ハウス建設から採用活動がしやすくなったとの声や、高校の先生からのお問い合わせもいただき、社内外に想定以上の広報成果が出たと考えている。
DATA
コミュニケーションデザイン部
人数:非公開
体制:マーケティング部内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ 危機管理広報
☑ ESG・SDGs関連

コミュニケーションデザイン部
広報室長
矢倉嗣也(やくら・つぐや)氏
1994年入社 営業職、復興住宅の営業を経て2022年8月より現職。
不動産・建設
大和ハウス工業
反響の大きかった広報施策
防犯型スマートタウン「セキュレアガーデン豊川八幡駅南」
実施時期:2023年4月
目的:営業支援
ターゲット:住宅購入者

世間の防犯意識に沿った商品販売
メディアからの問い合わせが多数
当社は、高い防犯機能を特徴とする住宅街として、愛知県豊川市で24時間録画し続ける防犯カメラ機能付きインターホンを全97区画の住宅全戸に設置する「セキュレアガーデン豊川八幡駅南」の販売を2023年4月に開始した。
防犯カメラは24時間常時録画でき、最長96日間保管され、古い撮影データから順番に削除していく。居住者は、自宅の撮影データをスマートフォンの専用アプリから確認できる。防犯への取り組みが全国的に注目される中、「安全・安心」や「街全体での見守り」をアピールしてメディアに情報提供をしたことで、マスコミ各社からの問い合わせが増加し、民放2局で放映され、新聞社21社に掲載された。
DATA
経営管理本部 広報企画部
人数:24名
体制:経営管理本部の1部門として機能
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ グローバル広報
☑ 危機管理広報

上席執行役員
総務部長・広報企画部長
中尾剛文(なかお・たかふみ)氏
1983年入社、入社17年 本社総務部広報課長、入社20年 本社社長室広報室長、入社23年 経営企画本部広報企画室長、入社40年 経営管理本部広報企画部長。
不動産・建設
東急
反響の大きかった広報施策
「100周年イヤー」における広報活動(アウター・インナー)
実施時期:2022年4月~2023年3月
目的:東急グループ創立100周年を迎え、歴史、企業理念、提供価値をすべてのステークホルダーに再認識いただくため
ターゲット:お客さまや従業員を含むすべてのステークホルダー

100周年、グループ一体で取り組む
特別ラッピング企画列車は1年運行
アウター・インナー広報が一体となり、グループ約230社を巻き込んで実施。100周年ロゴ・コンセプトを策定、施設700箇所でポスター掲示、従業員約10万人でロゴバッジ着用、HP記念特設ページ開設、記念写真集「100 Thanks」・「東急100年史」を制作。
アウター広報では事業のあゆみと未来へのメッセージを発信するラッピング企画列車「100周年トレイン」を1年運行。メディアに働きかけトップ取材を積極的に敢行し、テレビ東京『カンブリア宮殿』、産経新聞の東急100周年企画記事など、多くの取材獲得につなげた。インナー向けには全職場参加型で100日前カウントダウンをイントラネットに掲出。一体感を醸成した。
DATA
社長室 広報グループ
人数:26名
体制:社長室内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営...