各社の広報部門の責任者が、反響の大きかった広報施策を教えてくれた。その事例から、社会の関心への寄り添い方や、目的・ターゲットに即した手法選びなどが研究できる。自社とは異なる業界の施策もヒントになりそうだ。
運輸・エネルギー
ANAホールディングス
反響の大きかった広報施策
三笘選手とのスポンサー契約発表会
実施時期:2023年6月
目的:世界を舞台に羽ばたく三笘選手を全力でサポートしながら、私たちANAグループも更に進化を続け、世界中のお客さまに沢山の夢と喜びをお届けしていく
ターゲット:日本だけでなくグローバルマーケット
三笘選手と社員・飛行機の構図
“画づくり”から逆算し露出増
スポンサー契約発表会は、会場を飛行機の整備場に設け、飛行機と社員が三笘選手のバックに映るようこだわった。三笘選手が社員とハイタッチで入場するシーンは多くの報道で採用された。社員にはサプライズのため、事前に「サッカーに関する発表会」という情報のみで参加募集。250名の募集があり抽選で100名が参加した。
また効果的なイベント運営とコスト削減のため、広告代理店に依頼せず、広報部員で企画・運営。マネージメント会社とも直接交渉したほか、情報が外部に漏れないよう記者にはリリース条件付きで案内した。イベントのコストは音響とステージ代のみ大幅に削減しながら多くの報道につなげることができ、大成功だった。
DATA
広報・コーポレートブランド推進部
人数:40名
体制:本部として独立
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ グローバル広報
☑ 危機管理広報
運輸・エネルギー
SGホールディングス
反響の大きかった広報施策
グループのフラッグシップとして竣工した
次世代型大規模物流施設「Xフロンティア」のプロモーション活動
実施時期:2020年1月
目的:物流を通して顧客の経営課題に最適なソリューションを提案できる総合物流企業グループとしての存在価値向上を目指す
ターゲット:企業の管理監督者層以上の意思決定者層
CG活用動画で視覚的な理解促進
総合物流企業へと想起の変革図る
4つの事業会社の物流機能が融合するグループ初の次世代型の大規模物流施設「Xフロンティア」の竣工に合わせ、SGHグループ=総合物流企業とのイメージを訴求する「竣工記者会見」を実施。
物流事業は多様な機能が複雑に融合していること、目に見えない部分が多いことから、CG活用のプレゼン動画を制作。視覚的にも理解できるよう工夫した。また広大な施設内をマイクロバスで移動する内覧会を実施し、来場記者への企業理解を促進。竣工式自体の露出は日経新聞や時事通信社、日経ビジネスなどにとどまったが、記者が想起する当社グループのイメージが宅配便事業者➡総合物流事業者へ変化したことを実感。目標達成に大きく貢献した。
DATA
経営企画部
人数:7名
体制:経営企画室内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ グローバル広報
☑ 危機管理広報
☑ IR
運輸・エネルギー
商船三井
反響の大きかった広報施策
ブランドコンセプト「BLUE ACTION MOL」
実施時期:2022年10月
目的:ステークホルダーへの企業イメージ向上
ターゲット:一般生活者
海運業超え事業イメージの拡張
PRのブランドコンセプト策定
社会インフラ企業として事業ドメインの拡張を目指し、多様化するステークホルダーに対して、PRとしてのブランドコンセプト「BLUE ACTION MOL」を設定。「BLUE ACTION」は自社事業の原点である海運業のフィールドを想起させ、また持続可能な成長のために守るべき「海の惑星」、そして企業理念*を土台に企業イメージを具現化した点が特徴。
2022年10月に発表後、翌年4月の経営計画「BLUE ACTION 2035」をはじめ、サステナビリティ活動、DX、人財など個別のビジョンを包括的に連携させ、社内外共通のPRプラットフォームとして進化している。
DATA
コーポレートコミュニケーション部
人数:16名
体制:本部として独立
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ グローバル広報
☑ 危機管理広報
☑ 広告宣伝
☑ IR
☑ ESG・SDGs関連