各社の広報部門の責任者が、反響の大きかった広報施策を教えてくれた。その事例から、社会の関心への寄り添い方や、目的・ターゲットに即した手法選びなどが研究できる。自社とは異なる業界の施策もヒントになりそうだ。
食品・飲料
紀文食品
反響の大きかった広報施策
調査レポート広報
実施時期:毎年10月・11月に発表
目的:和食文化の一つである「鍋もの(特におでん)」と「正月」に関するトピックの情報提供
ターゲット:報道機関全般
メディアの資料活用ニーズを捉え 和食文化の調査レポート配信
和食文化の保護・継承のために「鍋白書」「お正月百科」を毎年シーズンインとなる10月・11月に公表。30年以上の発行実績がある報道向け資料で、ストレートニュース狙いではなく、関連情報として活用されることを主眼としており、ほぼ想定通り報道側の取材・特集用資料として活用されている。その時の話題や関心が高そうなテーマ、識者の寄稿、深掘情報などを調査レポートと共に掲載。
営業担当者が取引先との商談用資料として活用する事例や、調査専門会社が自社の情報発信資料の中のコラム的な内容として活用する実績もある。2022年実績では、テレビ23件(鍋白書17件、正月百科6件)を含め計438件(鍋白書167件、正月百科271件)の掲載。
DATA
グループ統括室 経営戦略部
人数:8名
体制:経営企画室内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ 危機管理広報
☑ IR
☑ ESG・SDGs関連
食品・飲料
キリンホールディングス
反響の大きかった広報施策
キリンビバレッジ湘南工場新ライン お披露目イベント
実施時期:2023年5月
目的:プラズマ乳酸菌の新ラインを紹介し、キリンビバレッジが健康領域でキリングループを牽引する期待感を獲得する
ターゲット:一般消費者
社長自ら製造現場に立ち、新設ラインをメディアにお披露目
当社はビールや飲料などの「食領域」に加え、人々の健康に貢献する「ヘルスサイエンス領域」に注力している。その切り札が健康な人の免疫機能の維持をサポートするプラズマ乳酸菌である。キリンビバレッジでは湘南工場に100億円投資し、プラズマ乳酸菌入り飲料(商品名「おいしい免疫ケア」)を製造するラインを新設した。そのお披露目会をメディア向けに実施。
キリンビバレッジの吉村透留社長が自ら製造現場に立ち、ラインの特徴や概要を説明したのが工夫点。フジテレビやテレビ東京のニュースにて長尺で放映され、翌日以降、商品に関するお客さまからの問い合わせが殺到した。
DATA
コーポレートコミュニケーション部
人数:100名
体制:本部として独立
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ グローバル広報
☑ 危機管理広報
☑ IR
☑ ESG・SDGs関連
食品・飲料
湖池屋
反響の大きかった広報施策
湖池屋ポテトチップス60周年企画
実施時期:2022年8月23日
目的:湖池屋ポテトチップス60周年の話題化・露出の最大化
ターゲット:20~60代(特にSNS利用者)
60周年の話題化・露出増に向け複数企画を同時に展開
「湖池屋ポテトチップス60周年」の話題化・露出の最大化を目指し、お客さまに楽しんでいただける物語をどのように展開していけるかを意識して企画。モルカーのキャラクター「ポテト」と湖池屋の「ポテト(のり塩)」のSNS・ウェブ動画によるコラボレーションキャンペーンをはじめ、複数企画を同時に展開してSNSで話題に。SNSでの話題が起点となり、テレビ番組での「湖池屋ポテトチップス60周年」の紹介につながった。
モルカーとのコラボSNSキャンペーンの景品(オリジナルデザイン箱と商品詰め合わせ)は、当初販売は予定していなかったが、「販売してほしい!」というお客さまの声を受け、オンラインショップで限定発売した。
DATA
マーケティング本部 広報部
人数:5名
体制:マーケティング部内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報
☑ 危機管理広報
☑ ESG・SDGs関連
食品・飲料
J-オイルミルズ
反響の大きかった広報施策
植物性チーズ*「Violife(ビオライフ)」の周知
*乳製品ではない
実施時期:...