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REPORT

「広報」の最新定義、日本広報学会が発表 業務や役割を見直す機会に

広報業務の高度化、複雑化を受け、日本広報学会は6月「広報の定義」を発表。研究者・実務家への調査をふまえ約2年かけてまとめた。エドワード・L・バーネイズが広報の概念を紹介してから100年が経つ2023年、改めて広報とは何かを見直したい。

イラスト/岡田 丈

日本広報学会の「広報」の定義

組織や個人が、目的達成や課題解決のために、
多様なステークホルダーとの
双方向コミュニケーションによって、
社会的に望ましい関係を構築・維持する
経営機能である。

A management function in which organizations and individuals
build and maintain socially desirable relationships
through two-way communication with diverse stakeholders
in order to achieve objectives and solve problems.

広報業務が拡充していく過程で、広報概念をめぐる混乱が生じやすくなっている。そうした状況を受け、日本広報学会が示した最新の「広報」の定義文。まずは定義文にじっくりと目を通したい。

定義の内容は、より大きな視点から広報の概念を捉える立場をとっている。「確かに、そういうことだ」と納得する人もいれば、「あれ、そうだったの?」と感じた人もいるかもしれない。

定義を議論のきっかけに

同学会は、定義作成の目的を3つ挙げている。広報に対する共通認識の形成、隣接領域との関係の明確化、そして広報領域の地位向上だ。学会として広報の概念を固め、広報のあるべき姿を定義として共有することで、理解がより深まり、議論が活性化することを期待しているという。他の定義を否定したり、広報の実務を制限したりするものではない。

最新定義をもとに、広報の現場を改めて展望してみると、どのような気づきが得られるだろうか。実態とのギャップを見つめることは、自らにとって望ましい広報のあり方を探究することにつながるはずだ。

ここからは、日本広報学会が発表した内容をもとに、定義の内容について7要素に分け、広報業務を見直す上での要点を紹介する。なお、定義策定のプロセスや、定義の詳説については、日本広報学会のホームページで読むことができる。



(1) 対象

広報の概念

ここまで「広報の定義」として記してきたが、日本広報学会が発表した定義では、「広報」「パブリック・リレーションズ」「コーポレート・コミュニケーション」を同じ意味を持つ概念として捉えている。つまり便宜上「広報」としている。それぞれの言葉が生まれた歴史をたどると、細かなニュアンスの違いはあれども、本来の意味として示されてきた内容は基本的に同じであるため、3つを共通の概念としたという(記事下のCOLUMN参照)。

ただし、日常用語としての「PR(ピーアール)」は本来の広報とは別な意味で用いられているため、本定義では除いている。



(2) 主体

組織や個人が

定義の特徴のひとつは、広報の主体を広く捉え「組織や個人」としている点だ。営利企業だけでなく、行政機関、学校法人、医療機関、非営利組織はもちろん、個人も含むとしている。従来、広報は組織が主な担い手だったが、オウンドメディアやSNSを活用して、個人も広報に相当する活動ができるようになったためだ。



(3) 目的

目的達成や課題解決のために

広報の目的は、組織や個人の「目的達成や課題解決に貢献すること」と定義では捉えている。広報の最終目的は、認知の獲得や売り上げの向上、採用計画の実現、失われた信頼の回復など、多岐にわたっている。パブリック・リレーションズの目的を「パブリックとの関係構築」と捉える考え方もあるが、本定義では、なぜ関係の構築や維持をするのか、中長期的なものも含めて明確にすることを重視。経営の目的や課題を見据えて広報の展開方法を検討することを促す。

近年、広報の効果測定に対する需要が高まり、デジタル化によって測定の仕組みが発展を続けていることも、その背景にある。



(4) 客体

多様なステークホルダーとの

広報の客体には、個人から組織、社会まで、多種多様なステークホルダーが含まれている。ステークホルダーとは、「主体に直接・間接的に影響を与え、かつ与えられる可能性のある組織・集団・個人」を指す。「パブリック」ではなく「ステークホルダー」としたのは、主体との関係を具体的に意識しやすい表現であり、本定義では経営機能の一種として広報を位置づけているためだ...

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