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スタートアップ企業の転機

創業初期には記者へ自作パンフレットを配布 事業への思いや背景など『スタンス』伝える

下矢一良(PR戦略コンサルタント・ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、メディアで話題となっているスタートアップ企業の転機に迫ります。

DATA:ヘラルボニー
創業年 2018年7月24日
事業内容 知的障害のあるアーティストが描くアートデーターを軸にライセンス事業を展開。自社ブランド「HERALBONY」ではネクタイやスカーフなどのプロダクトを販売、売上の一部を作家の報酬としている。
従業員数 55名(2023年7月14日時点)
広報体制 4名

「創業からしばらくの間は、社長である私が広報も担当していました」。こう語るのはへラルボニーの創業者・松田崇弥社長だ。「広報で成果を上げているスタートアップ」に共通するのは、広報への取り組みの早さだ。2018年7月に創業したへラルボニーも、11月には最初のプレスリリースを「PR TIMES」で配信している。

ヘラルボニーとライセンス契約を結ぶアーティスト森啓輔氏が描いた「Let it be」(左)と「ジャックリーン」。2023年5~6月まで、東京・大手町にある三井住友銀行東館1階で展開したグループ展「ART IN YOU アートはあなたの中にある」で展示。

パンフレットで記者にアピール

プレスリリースという「王道の広報手段」を活用する一方で、事業内容や設立背景を説明するにあたり、創業期により大きな武器となったのが「自作のパンフレット」だ。「創業からしばらくは夜行バスに乗って、全国各地のピッチイベント(スタートアップが投資家などに、自社を短くプレゼンテーションする場)に出ていました。その場で出会った記者には口頭で自社の紹介をするのに加え、『自作のパンフレット』も手渡していました」。

パンフレットは5ページ程度で、へラルボニーのミッションや思い、同社と契約している障害がある作家の作品などを紹介しており、記者の印象に残るよう工夫を図っている。

こうした「草の根」の広報活動が徐々に成果に結びついていく。実際にスタートアップ専門のメディアから地元・岩手のテレビや新聞と、メディアに取り上げられることが増えていったという。

そして最大の転機となったのが、テレビ朝日『報道ステーション』で・・・

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