月刊『宣伝会議』2001年10月号に掲載した、第1回の「広報会議」復刻版をお届けします。
「企業の組織再編が進むなか、広報セクションの役割が経営の根幹に近づいています。これに伴い、広報担当者の業務は拡大・深化。業界の動向・各社の取り組みなど、日ごろ広報の業務に携わる読者の方々からも、多数のお問い合わせが編集部に寄せられるようになりました」──。
「広報会議」というタイトルを冠した企画が最初に始まったのは、月刊『宣伝会議』2001年10月号誌上でした。当時の記事は、こんな書き出しからスタートしています(その後、月刊誌として独立創刊するまでの流れは「広報会議5月号電子ブック」20ページをご覧ください)。
第1回の「広報会議」では、広報という仕事の真価について余すことなく語られています。同時に、この十数年でどこまで企業のコミュニケーションは進化を遂げたのか──頭の片隅で考えながら、ご一読ください。

出席者
※役職は当時
資生堂 役員待遇 コーポレートコミュニケーション本部 広報部長 鈴木奎三郎氏
日本パブリックリレーションズ協会 理事事務局長 福田清介氏
アルプス電気 広報・秘書室 理事室長 乃美元彦氏
井之上パブリックリレーションズ 取締役社長 井之上 喬氏

なぜ広報が重要なのか
──経営トップをはじめ、企業のさまざまなセクションの方々が「広報が非常に重要になってきている」という話をしています。この背景にはどんなことがあるのでしょうか。
乃美(アルプス電気):情報が企業経営に大きな影響を与える。各部門ばらばらに情報を発信すると、いろいろな面で問題が生じます。また企業戦略として、情報の“形” を統一する必要もある。当社では経理部門がIRを担当していますが、広報、営業の企画部門、宣伝部門なども定例的に会合を開き、トータル的な企業情報の一本化を図っています。
鈴木(資生堂):「会社」をひっくり返すと「社会」だし、「社会」の逆は「会社」です。表裏一体の関係にある。つまり会社とは、限りなく社会的存在なわけです。したがって、過去・現在・未来の企業の情報をスピーディかつタイムリーに発信していくことは、会社として当然の業務です。「ディスクロージャー」と「アカウンタビリティ」、つまり企業には、徹底した情報開示と説明責任があるという意味で、広報部門が重要だといわれているのです。
それから宣伝部と広報部は、組織体として分かれていたとしても、世の中にコミュニケーションしていくという点で同じです。私自身が広報部長をしながら宣伝も統括しているので、 …