現場の社員がブランドマスター 「ショップジャパン」認知度は2年で50%に
通販会社「ショップジャパン」の運営会社として知られるオークローンマーケティング。近年はユニークなテレビCMでも知られる腹筋マシン「ワンダーコア」など、ヒット商品を数多く送り出している。そんな同社が「ショップジャパン」のリブランディングに着手したのは2014年のこと。
コーポレートブランドをつくる広報
コーポレートブランドの再構築に取り組む企業が増えている背景とは。日本取引所グループ、ウシオ電機、大塚家具などのブランディングに関わってきたブラビス・インターナショナルの笹田陽勇氏が解説します。
1.企業合併、統合
● 異なるDNAを持つ社員を同じ方向に向け、ひとつの企業としての一体感を醸成
2.社長交代
● 新しい社長になり、企業方針を一新し、企業に新しい活力を与える
3.事業継承(特に中小企業)
● 先代の社長の考えのもと仕事をしてきた社員に対し、自らの考え方ややり方を理解してもらい、協力者を増やしていく
● 新社長の考えのもと、人事評価基準を改めて、人員の入れ替えを実施することも必要
4.周年
● 特に中途採用の多い中小企業では、様々なDNAを持つ社員が、それぞれに動いている。全社一丸となって動き、効率的に業績を上げる体制をつくり成果を上げることで、社員のモチベーションを高める。
5.グローバル化にともなう商標問題、デザインの統一
● 事業拡大の一環として海外に進出する際、国内で使用していた商標が使用できない場合
● またはブランドの表現が各国でバラバラという場合
コーポレートブランドの再構築に取り組む理由や背景は図1のとおり、大きく5つあると考えられます。いずれも求められるのは、「企業のDNAを明確にする」ということ。DNAが不明確だと、企業として向かうべき方向を社員間で共有できません。そこでコーポレートブランドを再構築し、ビジョンやミッションを共有しながら強い推進力を持とうとしているのです。
特に「周年」を機にブランドを見直す企業が増えています。50年を超える伝統企業はもちろん、最近では急成長したベンチャーなどが創業から10年の節目で、次のステージへ向かうためにブランドビジョンを構築するというケースもあります。
成長企業の場合は人材が急激に増え、やがて社員間の意思統一が難しくなってきます。そこでインターナルブランディングの一環で「自分たちがどういう会社なのか」を見極め、ビジョンを構築し、全社を挙げてビジョンを再確認する作業が必要になります。同時に事業領域も拡大していくので、歴史の浅い会社ほど「大きめの服を着る」くらいがちょうどいいですね。少し大仰かなと思えるぐらいのビジョンを持って、「新しい気持ちで、この先の10年を頑張ろう」と誰もが思える指針を示すことが、特に新興企業では大切です。
企業規模を問わずグローバル市場に進出する企業も増えていますが、海外進出時のブランド管理で最も注意しておきたいのが商標の問題。国ごとに異なる商標の基準をクリアして、海外でも効率的にブランド展開できるルールづくりが必須です。
私たちも広報部門を中心としたグローバルのブランド管理体制づくりをお手伝いするケースが増えていて、ロゴと社名の組み合わせ、社名表示に「INC」をつけるなど、国によって数パターンの表記が必要ということもあります。海外での訴訟リスクを回避するためにも、従来のCIマニュアルを刷新したり、商標戦略を作成したりと実務面での対応も求められます。
コーポレートブランドを重視する流れにおいて、「消費者志向を最優先した商品開発に限界が来ている」という背景もあると思います。あらゆる企業が消費者のニーズに応じた商品を開発し、成功例が出れば各社が後追いします。その結果、差別化要素が失われ、似通った商品が市場にあふれるコモディティ化が進みます。
こうした市場で勝ち抜くのは ...