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コーポレートブランドをつくる広報

広報・PR活動の限界を突破するためにプロフェッショナルが備えるべきこと

和田千弘(インターブランドジャパン 代表取締役社長CEO)

米インターブランド社による「ブランド価値評価ランキング」で2016年、分析評価モデルに変更が加わり「共感共創度」が重視されるようになった。同社日本オフィスの和田千弘代表による、広報・PR活動への提言とは。

図1 インターブランドジャパン Best Japan Brands 2016
「Global Japanese Brands Ranking」(2016年2月発表)

本稿の結論は、二つである。一つ目は、日本企業の広報・PR活動は、「ブランドとレピュテーションの違い」といった、長期的な企業価値の観点からはまったく無意味な区分に甘えるのを止めて自らの制約を打ち砕き、経営に確実に貢献するという覚悟を持つべきである。

二つ目は、企業が創出する価値である「社会価値・企業価値・ブランド価値」を、広報に携わるメンバーやPRエージェンシーが明確に理解・把握し、「価値」をベースとした「経営の言語」を使って、広報・PR活動の方針と成果を説明すべきである。

自らの広報・PR活動は経営に貢献しているか

企業経営や企業活動で測定できないものはマネージできない、というのは言いすぎだろうが、何らかの科学的方法論とデータで戦略や施策の検証ができなければ、それにカネをどの程度使うべきか、カネを使って正しかったのか、は決して説明ができない。

言うまでもなく、測定が困難で、しかしながら企業活動で不可欠なもの(と考えられているもの)は多い。例えばリーダーシップ。「あの経営者はリーダーシップが強い」というコメントを発する根拠は、どうしても発言者の主観に基づかざるを得ない。いわゆるサーバント型(奉仕型)のリーダーシップであったとしても、従業員にアンケートを取ったりヒアリングしたりしても、科学的測定はほぼ不可能である。

ポピュリズム的経営が従業員のモチベーションを高めて企業価値を創出するケースがある一方、破滅への道を辿っているケースもある上、従業員が企業価値創出とリーダーシップとの連関性を判断して回答することは通常、期待できない。

しかしながら、リーダーシップについては、企業価値向上の単なる手段のひとつであると割り切ることができる。ガバナンス的には、リーダーの成績表は定量的な経営指標のみで良く、定量的指標を向上させて(将来の業績予測を含めた)企業価値を向上させているのならば、リーダーシップの強弱や有無はダイレクトに測定されずとも、通常問題ないだろう。

しかるに、広報・PRは、リーダーシップのように最終的には個人に帰着されるわけではなく、多くのスタッフで動くことが多い。そしてその結果、多大なカネを使う活動である。企業価値創出との連関性が曖昧なままでは、それは重大なカネの無駄遣いである。結果が出ないリーダーはクビにして刷新する選択肢があるが、結果が出ない広報・PR部門は、単に人を変えても仕事のやり方自体を変えなければ、結果は出るようにはならない。

トップの意識改革より「プロ不在」に課題

なぜ特に日本では、企業価値に多大なインパクトを与え得る広報・PR活動にあまりカネを使いたがらない経営者が多いのか。しばしば、広報・PRに関する経営者の意識改革が必要だと言われることがあるが、それは大きな間違いである。

まず、広報・PRのプロフェッショナルを自認し、自らの仕事で経営にインパクトを与えようという …

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