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小さな地方自治体のためのブランディング戦略 「長島大陸」から地方創生を発信

鹿児島県の小さな町がイノベーティブな施策と戦略的な広報によって、地方創生の旗手として注目されている。仕掛け人は、全国最年少の副町長だ。

鹿児島県の北西端に位置する長島町。23の島々から構成され、その豊かさと多様性は「長島大陸」と表現される。

鹿児島県の北西端に位置する長島町。南北15キロメートルの長島を中心に合計23の島々からなる人口1万人強の小さな町が今、地方創生の先進都市として注目を集めている。取り組みを牽引するのが、30歳という若さの井上貴至氏。2015年4月に総務省から地方創生人材支援制度で長島町に赴任してきた、史上最年少の副町長だ。「長島町にはたくさんの魅力があるのに知名度が低く、ブランド力がない。まずは全国で認知度を高めることが大切だと考えました」。

そこで生み出したのが「長島大陸」というキーワードだ。長島町は食糧と自然エネルギーの自給率が100%を超え、出生率も2.0前後で推移している。ブリの養殖で日本一を誇る「海」、赤土バレイショやみかんを育てる「大地」、急峻で表情豊かな「山」というように自然は大変豊か。このような多様な魅力と地域力に富む長島町を大陸に例え、様々なブランディングを行う方向性を定めた。

長島町を一躍有名にした施策が、若者のUターンを促す「ぶり奨学金制度」。子どもが高校や大学に進学するときの必要費用を保護者に支給する奨学金だが、卒業後に長島町に戻ってきた場合は、その返還を免除するという点がポイントだ。「卒業後すぐではなく、10年以内に戻ることが条件です。町の外で経験を積み、地域のリーダーとして戻ってきてほしいという期待を込めて、出世魚で回遊魚である名産のブリにあやかったネーミングにしました」。

また、地方の小さな自治体が抱える人材難という課題に対しては、求人サイトと連携。無料のサービスを活用して地域おこし協力隊員の募集を始めた。

「人も地域もダイヤモンド。光の当て方で輝き方が変わる」と井上氏は強調する。長島町の取り組みは、イノベーティブな施策だけでなく、広報やブランディングの面からも多くの地域に参考になるはずだ。

長島町の養殖ブリは出荷量日本一。「ぶり奨学金制度」はこの名産にあやかって名付けられた。

人材難という課題に対しては、自治体で初めてネット求人サイトと連携。

長島町 副町長(地方創生統括監) 井上貴至(いのうえ・たかし)氏

1985年大阪府生まれ。東京大学法学部卒業後、2008年総務省入省。愛知県庁市町村課、内閣府地方分権改革推進室などを経て、2015年4月から現職。実名ブログや霞ヶ関での朝活組織も運営し、地域活性化の伝道師として活躍。

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