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リスク広報最前線

シナジー効果が期待される M&A計画を公表する際のポイント

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを103専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
※本原稿は2025年1月時点で執筆しています

本田技研工業(Honda)、日産自動車(日産)、三菱自動車工業(三菱自)は2024年12月23日、3社連名で「3社協業形態の検討に関する覚書を締結」と題するリリースを開示・公表し、3社の社長が同席した記者会見を実施。Hondaと日産が2026年8月をめどに共同持株会社を設立する方法での経営統合に向けた協議を開始し、三菱自が2025年1月末をめどに参画の可能性について判断することを明らかにしました。今回はこのケースを題材に、M&Aによるシナジー効果(相乗効果)が期待される状況下での広報について解説します。

ステークホルダーの疑問に答える

Hondaと日産の経営統合の協議に限らず、企業がM&Aを行う最大の目的は、シナジー効果を得ることです。企業の売上・利益・株価が停滞している状況やドラスティックな変革をしなければ市場での競争力を失いそうな状況で、企業価値を高める手段として行うのがM&Aです。

そうだとすると、M&Aの計画や実施を広報するときには、まず、株主・投資家に、M&Aによってどのようなシナジー効果が生じると期待しているのかを理解してもらうことが必要です。

会見の冒頭で、Hondaの三部敏宏社長は「両社が統合することであらゆる領域で化学反応が生まれ、シナジー効果の...

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