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小さなお店を流行らせる広報術

埼玉県の小さなクリニックにテレビ取材が殺到した理由

吉野信吾(プロデューサー)

本頁は『小さなお店を流行らせる広報術』で、その本質は、「弱小資本や誕生したばかりのお店を、いかに多くの方に認知してもらい流行らせることができるか、そのための宣伝広報術を考える」ことですが、今回はお店ではなく病院、正確にはベッド数の少ないクリニックの話です。

埼玉県は川越市にある川越救急クリニックは、救急患者を受け入れる救急医療施設です。一般的にはこうした救急患者を受け入れる救急医療施設は、大学の付属病院のような大きなものや、救急指定を受けたある程度大きな病院で、個人経営の救急クリニックという例は全国的にみてもほとんどありません(他県に1つあるくらい)。

もし、個人でクリニックを始めるとするならば、そのカテゴリーは内科、小児科、歯科、整形外科、外科、美容整形......獣医、といったところが一般的でしょう、また、個人で開業に至るにはいろんな理由があるでしょう。

大学病院にいても医局などの派閥関係で地位が上がる望みがない。開業した方が病院勤務より儲かる......といった動機は人それぞれとしても、まず、お医者さんになる、というそもそもの発端は、家が代々医者の家系だから、安定しているから、儲かるから、社会的地位が高いから、人の役に立ちたいから、命に関わる仕事をしたかったから......と、まちまちのはずです。

しかし、いずれにしても、いくら「人の役に立ちたいから」「命に関わる仕事をしたかったから」とは言ってはみても、儲からず、不規則で過酷な方向に向かって舵は取らないはずです。仮に医者という職業の全てがそうした、儲からず、不規則で過酷な職業であれば、志望する学生などいなくなってしまうのではないでしょうか。

そうした医療業界で、まさの「人の役に立ちたいから」「今以上に救急医療の必要性を感じたから」といった動機から、儲からず、不規則で過酷な医療の最前線である救急医療を、個人で立ち上げた人がいます。その人が川越救急クリニックの上原淳医院長、51歳。

儲けや安定だけを考えれば、最初から美容整形外科あたりを目指せばいいのでしょうが、この上原先生は産業医科大の麻酔科を卒業後、北九州で医師として働き、その後いくつかの病院を経て、埼玉医科大学総合医療センターにてスタッフ15人ほどを束ねる高度救急医療の専門医として最前線で働いていました。しかし、救急医療にかかわればかかわるほど、たらい回しの回避と一次救急、二次救急の患者を受け入れる救急施設の必要性を感じたと言います。

救急医療とは?

そもそも救急患者を受け入れる救急指定病院には、救急救命室、救急救命センター、高度救急救命センターがあって、消防法第二条第九項によって都道府県知事が告示指定するのですが、その要件として

    (1) 救急医療に対し豊富な経験と知識があるスタッフが常時従事している。
    (2) レントゲン、心電図、輸血、輸液のための設備がある。
    (3) 救急隊による傷病者の搬入に適した場所と設備がある。
    (4) 救急医療を要する患者が優先的に使用するベッドがある。

といった条件があります。そして一次救急とは、入院や手術をともなわない医療。二次救急とは、入院、手術を要する症例。三次救急とは、二次では対応できない重篤な疾患や外傷のある場合。ということなのですが、ここではページの関係上詳しく述べることはできませんが、クリニックに伺って上原先生に直接話を聞くと、こんな答えが返ってきました。

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