世の中の流れと傾向には、一種の法則というか、流行りのようなものがあります。その流れを掴んでおくことは「機をみて敏たれ」の言葉ではありませんが、広報担当者にとっていま必要なことではないでしょうか。それは小さなお店の店主も同じで、世の中の流れと傾向の根底にはお金、すなわち経済が関連しているからです。
ネット情報から流れと傾向を知る、掴む、ということは最も簡単なことと思いがちですが、本日は、今では不況の代名詞のようになった出版業界の商品である「本」に焦点を当てて、探り方を考えてみたいと思います。
出版業界は大不況であるがゆえに、売れる商品開発に躍起になっています。世界中、書籍や雑誌の大きさや装丁といったものは極端に変わりませんから、変わらないがゆえに商品開発が難しく、結果、付録本といったオマケがメインで、本がオマケという本末転倒のヒット商品に辿り着いたともいえます。
商品としての本と、ネット情報を分析して紐解くインテリジェンスを駆使することで、流れと傾向をうかがい知ることができますが、その基となるのがアマゾンのホームページです。
みなさんもネットで本を購入された経験がおありならば、アマゾンのホームページはご存知でしょう。しかし、積極的により細かく情報を取得する、といったことをしている人は出版業界人か、もしくは仕事上必要な方々だけで、極端な本好きを除き一般消費者はほとんどいないのではないでしょうか。
アマゾン「ランキング」を読み解く
アマゾンのホームページを開き、本(和書)のジャンルを見ると、文学・評論、社会・政治、ノンフィクション、医学・薬学、スポーツ・アウトドア、雑誌......。と出てきます。各カテゴリーはさらに詳細に分かれていますが、まず見ていただきたいのが「ベストセラー商品ランキング本」というところ。これはアマゾンで売られた全ての本の順位を示すもので、仮に1500位であれば、全ジャンルをひっくるめて1500位であるということです。
ベストセラーですからずっと売れ続けているものもありますが、発売後すぐの本(新刊)が上位に位置するというのが一般的です。
また、新刊にもかかわらず中古の本が在庫にある場合がありますが、これは新刊が出たらすぐに目を通すという読者が、読んだ後すぐ売却した、または出版社からの贈呈本を売った、ということが考えられます。しかし、一方でこんな見方もできます。発売後だというのにあまりにユーズドの中古本が多いのは、本の内容が良くないため手元に残しておく必要がない、そう判断した購入者が多いとも考えられるのです。