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小さなお店を流行らせる広報術

麦焼酎いいちこの『下町のナポレオン』が今でもなじみ深い理由

吉野信吾(プロデューサー)

すべてはユーザー次第

お店づくりも、メニューづくりも、マスコミに対するプレスリリースづくりも、どんなものであってもターゲットの琴線に触れることが大切ですし、そこが最大のポイントでしょう。そのストライクゾーンを外すとまったくヒットしない、受けないわけです。しかし、そのストライクゾーンも知らぬ間に移り変わっていることがあります。

以前、知り合いの1部上場企業のパチンコ・メーカー社長と話した時のことです。パチンコ台のことで私が、「なぜ、いまのパチンコ台のほとんどがアニメになっているんですかねぇ」と聞いたところ、こんな答えが返ってきたのでした。「他の会社もそうでしょうが、うちも独自でリサーチすると打っているお客の層のうち、最もお金を使っている、最もお金を使える年齢層が20代~30代。そのマーケットの認知度が高く、親しみが持てるキャラということになると結果的にアニメになっちゃうのよ」という話でした。

1台数十万円するパチンコ台を何のテーマにするか?どんなキャラを持ってくるか?これは商品開発のみならず、まさに店づくりやお店の広報にも通じることです。認知度が高く、親しみやすく、それでもって興味を引くものを開発しなければ商売にはなりません。ですからテレビドラマなどで広く認知されたものがキャラクターとして採用されるわけで、時代劇のテレビ番組であった『必殺仕事人』や『大江戸捜査網』『暴れん坊将軍』なんてものもパチンコ台となって登場したのですが、実際のヘビーユーザーのお客さんが20代であれば、今後はだんだんと時代劇には反応しづらくなると予想できます。商売の根本は変わらずとも、主力ユーザーに合わせてパッケージを変えるということです。

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