中古車事業Gulliver(ガリバー)を運営するIDOM。4月に医療従事者などに自動車を無償提供する支援を開始し、24時間で対象人数の1万人を超える問い合わせがあった。
サブスクサービスの枠組み活用
──4月15日にスタートした「新型コロナウイルス対策クルマ支援」は大きな反響がありました。企画の背景は。
4月7日に緊急事態宣言が発令されると、当社の代表取締役社長である羽鳥(由宇介)がオンライン全社員朝礼で「#SaveMoving」という社内向けスローガンを発表しました。「このような事態だからこそ、何のために自分たちは働くのかを見直し、働く意義を全社で合わせよう」という意図が含まれたものでした。
クルマ支援は、このスローガンを体現する形で「今こそ社員が自信と誇りを持てるようなサービスをつくれないか」という想いで企画しました。ベースになったのは私の担当事業だった自動車のサブスクリプションサービス「NOREL(ノレル)」です。
ノレルは、当社の中古車販売事業「ガリバー」で保有している中古車を定額制で一定期間貸し出すサービスです。3月ごろからこのサービスへの問い合わせが急増し通常時の4~5倍になっていたため、ニーズがあるのではと考えました。
4月には、新規契約者の約4割が医療従事者となりました。緊急事態宣言が発令されても外出せざるを得ない方が、公共交通機関を避けて車での移動を必要としていたんですね。そこで、ノレルの運用ノウハウを活かした事業を立ち上げることになりました。
──無償提供ということで、CSRの一環として実施したのでしょうか。
そうですね。医療従事者の方々に事前にヒアリングしたところ、タクシーの乗車拒否に遭ったり、公共交通機関を避けるために長時間かけて徒歩で通勤されている方がいたりと、非常にストレスに晒された生活を送っていらっしゃることが分かりました。
そういう状況を見聞きするなかで、「せめて移動だけでもストレスがないように」と、自動車を無償提供することが決まりました。これはトップの経営判断でしたので、収益シミュレーションは行いませんでした。