都内を中心に高級焼肉店「格之進」を展開する門崎(岩手県一関市)。新型コロナの影響で飲食店が大打撃を受けるなか、ECでの食材販売や「オンライン肉会」の開催で逆境を切り抜けている。
店舗休業でも生産者を救う
──門崎は飲食店・卸売・ECと3つの柱で事業展開をしています。昨今は飲食業界を新型コロナが直撃するなか、ECに力を入れていますね。
当社は約20年前の開業時から「日本の食の未来をクリエイトする」をコンセプトに、食を通じたイノベーションの創出を目指してきました。私の地元でもある岩手県一関市に本社を置き、オリジナルの「門崎熟成肉」や「いわて南牛」というブランド肉を販売してきました。
大切にしているのは、できるだけ生産者に売上を還元すること。積極的なマーケティング活動で肉の価値向上と需要の増加を図っています。
ところが、新型コロナの影響で「生産者への還元」が危ぶまれる事態となりました。当社は4月2日から都内で運営する「格之進」の9店舗を休業することが決まり、牛肉の生産者から仕入れができなくなったからです。牛は生き物なので出荷時期を調整できません。種付けから約40カ月間育ててきた牛の販路が絶たれれば、生産者の大きな損失につながります。
そこで、畜産農家を支援しようと休業当日にECサイトで特設ページ「おうちで格之進」を開設しました。店舗と同じお肉を自宅でも味わっていただこうと、「焼肉セット(1kg)」(税込9801円*)や「薫格 黒毛和牛焼肉セット(1kg)」(税込2万7000円*)などを販売しています。
この取り組みが軌道に乗り、当社のECサイト「格之進 オンラインストア」の売上が跳ね上がりました。2020年2月の売上を基準とした場合、3月は6倍、4月は21倍に達しています。
Facebookで年間数千万売上
──どれも高価格帯の商品ですが、これほど売り伸ばしている理由は。
長年取り組んできたO2O施策が実を結んだのだと思います。
格之進の店舗では、エンタメ性の高い店舗体験を重視してきました...