フジパンの「本仕込」は今年で発売30周年を迎えた。19年ぶりに新たなCMキャラクターを起用しティザーのOOHを展開したが、その正体は「本仕込」で隠されていた―― 。パン製品の広告としては珍しい、インパクトのある企画が実現した経緯とは。
「長く愛される商品」のイメージを守る
フジパンは6月26日、新宿駅と名古屋駅に「本仕込を持つのは誰でしょう?」と問いかける交通広告を掲出した。フジパンの看板商品「本仕込」を持つ女性は顔を隠しており、その正体が誰かは伏せられたまま。7月1日からは同スペースでクリエイティブを入れ替え、ついに隠れていた顔が現れる。その正体は「本仕込」の新たな広告キャラクターを務める綾瀬はるかだった⸺と種明かしをするという仕掛けだ。
「本仕込」といえばフジパンを代表するブランド。これまで19年にわたり、CMキャラクターを変えずにコミュニケーションを続けてきた。今年は発売30周年の節目であり、より環境に配慮したパッケージに変更する取り組みとともにコミュニケーションも刷新。広告は以前から電通が担当していたが、社内で長年手がけてきたチームから、クリエイティブディレクターの岡本昌大さんが率いる面々に変更となった。
「新しい時代の『本仕込』になっていかなければということで、30年の節目に思い切ってCMキャラクターを変更しました。サウンドロゴなどこれまで培ってきた資産は残しつつ、ターゲットとなる30~ 40代の家庭を持つ女性に受け入れられやすいよう、現代風につくっています」(岡本さん)。制作チームのコピーライター、プランナーもターゲットと同世代に。よりユーザーに近い感覚でCMをつくることを目指した。
「子育て世代のメンバーの視点や意見を取り入れ、微妙な表現の部分にも反映したかったんです。タレントや広告を変えても消費者の方々からそっぽを向かれずに、『日本の朝の定番』というイメージを今後も守って...