赤城乳業は「ガリガリ君」ブランドについて、4月25日、日経新聞に新聞広告を出稿。併せて、テレビCMを自社サイトやYouTubeの公式チャンネルで公開し、電車内や駅構内などに交通広告も出稿した。内容は「当たりつき やめるのを やめました。」という、シンプルでありながらインパクトの強いものだ。
“やめる”前提で始まったキャンペーン
スティックに印字された「1本当り」の文字を楽しみに、ひたすらアイスをほおばる。誰しも一度は味わったことがあるだろうそんなワクワクが、ひっそりと失われようとしていた。
ガリガリ君を製造・販売する赤城乳業はコロナ禍をきっかけに、1981年の発売時から続く「当たりつき」の廃止を検討していたという。食べた後のスティックを直接お店に持って行って交換することがどうなのか、という問題だ。
そこで同社では「当たりつき」をやめることを告知する広告を検討したいと、2013年から赤城乳業の広告を手がけてきた電通のクリエイティブディレクター 古川雅之さんに相談。古川さんは「最初にこのお話をもらった時点では、すでに廃止に向けた計画も組まれており、やめる前提で話が進んでいました」と振り返る。
一方で、「ガリガリ君」のアイデンティティのひとつでもある「当たりつき」をやめることに対し、赤城乳業にも逡巡があった。そこで古川氏は「どうしたら『当たりつき』を続けられるか」を考え、ことの顛末を広告にし、お客さまに協力をお願いしてはどうかと提案。再度赤城乳業の社内で議論を重ね、「やめるのをやめる」という決断に至った。
継続するためには、洗ったスティックを乾燥させた後にラップフィルムなどで包んで店舗に持っていくなど、消費者に協力を求めることになる。そういった行動を喚起するコミュニケーションには工夫が必要だ。そこで今回の表現のカギ...