「The One Show 2023」と「ADC 102nd Annual Awards」の結果が5月に発表された。 昨年は「The Lost Class」が各賞の最高賞を獲得したが、今年は異なる作品が受賞している。
今年50回を迎えた「The One Show 2023」では、69の国と地域から、2万166作品がエントリー。 最高賞にあたるBest of Showに選ばれたのは、Appleのショートムービー「The Greatest」だ。 ハンディキャップを持つ人々がApple製品のアクセシビリティ機能を用いて、人生を楽しむ様子を描いた内容。 本作はほかに部門賞にあたるBest of Discipline(Brand-Side/In-House 部門)、Gold Pencil 6つ、Silver Pencil 1つも獲得している。 またAppleは「Share the Joy」(Moving Image Craft & Production部門)、「Public Displays of Encouragement」(Out of Home部門)、Apple Musicの「Rihanna-Stay」(Music & Sound Craft部門)の3作品で部門賞を受賞し、ブランドランキングでも1位に選ばれた。
「ADC 102nd Annual Awards」には、59の国と地域から、1万1198作品がエントリー。 最高賞のBest of Show Black Cubeを受賞したのは、デル・テクノロジーズとインテルがVMLY&RとRolls-Royce、英国のMND Associationと開発したボイス・バンク「I Will Always Be Me」。 ボイス・バンクとは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に代表される運動ニューロン疾患(MND)の患者が声を失う前に自身の声を記録し、自身の声に近い音声を合成するシステム。 VMLY&Rは、ベストセラー作家のジル・ツイス氏とイラストレーターのニコラス・スティーブンソン氏と協力して、人が読む声を正確に記録するために必要な全ての音と音節を含むストーリーを作成した。 その内容は「病気になっても自分のパーソナリティは変わることがない」というもの。 本作は部門賞であるBest of Discipline Cube(Interactive 部門)とGold Cube 3つ、Silver Cube 1つ、Bronze Cube 2つを獲得している。
一方、日本からはトヨタ・モビリティ基金の「Voice Watch」が、今回から新設されたArtificial Intelligence 門で部門賞を受賞。 これは、モータースポーツ観戦のバリアフリー化を目的に、視覚障害のある人のための実況音声をリアルタイムで生成するAI。 マグロの目利き職人の技をAIに学習させた「TUNA SCOPE」を開発した、クリエイティブディレクター 志村和広氏を中心とするチームが手がけた(p.58~59でも内容を詳しく紹介している)。