半世紀にわたり製作 「本の宝石」の数々
本の芸術家・武井武雄展
子どもたちの魂に触れる絵を届けようと、印象的な童画を描き続けた武井武雄は真に芸術的な本の創造にも取り組んできた。
詞文や画のみならず素材や形態、触感から印刷技法に至るまで、本を構成する物理的要素の調和を追究した画文集『武井武雄刊本作品』は、1935年から半世紀余りの間に139作品が創作された。これらは「親類」と呼ばれる限られた会員に、製作実費のみで頒布され、「本の宝石」「本の芸術作品」として愛書家垂涎の貴重本となっている。
神奈川近代文学館では、「親類」の一人であった平尾榮美が収集した全作品および武井の著作や関連資料など約1800点の「平尾榮美コレクション武井武雄資料」をもとに、工夫をこらしながらひたむきに本と向き合った武井の足跡を紹介する。

武井武雄 写真提供:イルフ童画館

「愛のセレモニー」と「子持ちこけし」 平尾榮美コレクション 武井武雄資料

創作ノート

『愛蔵こけし図譜』 平尾榮美コレクション 武井武雄資料
県立神奈川近代文学館蔵 ©岡谷市・イルフ童画館
本の芸術家・武井武雄展 | |
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6月3日~7月23日 県立神奈川近代文学館[神奈川・横浜市] |
太古への憧憬あふれるパレオアートの世界
特別展「恐竜図鑑 ―失われた世界の想像/創造」
19世紀の化石発掘を機に、恐竜は復元図を通して“発見”された。太古の世界の住人に魅せられた人々は、化石などの痕跡から想像をはばたかせ、パレオアート(古生物美術)で失われた世界を創造してきた。
会場には、黎明期に描かれた奇妙な復元図から、恐竜画の2大巨匠として知られるチャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンらによる...