探求し続け 新たな方法論を見つけたい
ユニクロ、日産自動車などのグローバルクライアントのキャンペーンのアートディレクションを手がける伊藤裕平さん。その一方、落合陽一×日本フィルによる音楽会プロジェクト、子どもたちへ手洗いを啓蒙する「おれたちういるすPROJECT」など従来の広告の枠にとらわれない活躍を見せる。
2020年代のアートディレクション
新潟県出身で、地元を拠点に日本全国の仕事を手がける石川竜太さん。1年間毎日ロゴをつくり続けたブログ「毎日ロゴ」やその書籍でも知られる。実は「企業の枠組みづくりに関わる近道では」と戦略的に始めた活動だという。そんな石川さんがデザインをする上で大切にしていることを聞いた。
前職で働いているときに、仕事に日々追われることが辛くなった時期があって、「辞めたい」と師匠に伝えたんです。すると「お前、ここ辞めてどうすんの?」と。そこで初めて自分が約10年間デザインの仕事を続けられた理由を考えました。振り返る中で、やっぱりデザインに面白さや価値を感じていたことに気付いたんです。
でも、さらにステップアップしようとなると、当時の僕の価値観や景色の中では、新潟に師匠よりも高いステージで仕事をしている人は見当たらなかった。師匠の傘から出て、自分が世の中に何を提供できるか、今後何を提供しなくてはいけないか自分で考えていくしかないと。そうして、2006年に独立しました。
そうです。社名には、意匠のデザインだけではなく、もっとお客さんの枠組み全体から提案し、課題を解決していきたいという想いを込めました。創業後、最初の転機となったのは、2007年にNIIGATA ADC賞の初代グランプリを麒麟山酒造さんの「麒麟山紅葉」のパッケージデザインでいただいたことです。僕がダメな仕事をすると、新潟アートディレクターズクラブがたいしたことのない組織だと思われちゃうんじゃないかという危機感が自分の中に生まれました。
そこで改めて、どうすればフレームづくりに関われるかと考えたときに、思いついたのがロゴでした。10年くらい前までは、「企業デザインができます、やりたいです」と言ってもわかってもらえることは、ほとんどありませんでした。でもロゴは企業の理念やブランドのコンセプトと密接な関係があるから、当然そういうお話もする。ロゴをつくれば、それに紐づいて制作する多くのものに携わることができるかもしれないと。ロゴをつくるデザイナーとして名を上げるために、毎日ロゴをつくって公開するブログ「Frame 毎日ロゴ」を始めました。
正直、当時はとても大変でした(笑)。でも毎日ロゴをつくり続ける中で、次第に石川竜太という名前がロゴとリンクするようになってきました。実際にブログをきっかけにしたお仕事も少しずついただけるようになってきたんです。そして、もくろみ通り、お客さんの経営や、ブランド全体のコンセプトづくりに携わらせてもらえることも次第に増えてきて、今ではそういうお仕事の割合が過半数になりました。
新潟県にある摩周さんという...