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2020年代のアートディレクション

デザインの可能性を信じたい

関谷奈々(博報堂クリエイティブ・ヴォックス)

2014年からルミネの広告のアートディレクションを担当し、NEWoManのロゴやローソンなどのパッケージを手がける関谷奈々さん。クライアントとどのように向き合い仕事をしているのか聞いた。

博報堂クリエイティブ・ヴォックス
関谷奈々(せきや・なな)

アートディレクター。金沢美術工芸大学デザイン科視覚デザイン専攻卒業後、博報堂入社。現在、博報堂クリエイティブ・ヴォックスに所属。広告のアートディレクションから、ブランディング、ロゴ開発、パッケージデザイン、装丁デザインなどを手がける。

丁寧につくられていることが企業の信頼になる

──関谷さんがアートディレクターという仕事に興味を持たれたのはいつですか。

私は金沢美術工芸大学を卒業して博報堂に入社しました。大学が広告に力を入れていて、広告会社のアートディレクターの方の授業を受けて初めて、この仕事を意識しました。制約の中で課題に応えることが、自分に向いていると思ったのは卒業制作のとき。完全に自由になったときに、何をしていいか最後まで悩んでいたんです。そういう点では、広告の仕事は向いているのかなあと思います。

最近では、グラフィックだけでなくプロジェクト全体を考えるような仕事も増えてきました。ただ、どの仕事でもクライアントの課題に向き合って、どうすれば世の中の人を動かすことができるか、デザインの力で何ができるかを考えるという根本的なところは変わっていないと思います。

──課題を受けてからは、どのようにアイデアを考えていくのでしょう。

仕事にもよりますが、課題が何なのか、今回のミッションは何なのか、まずは文字にしていくことが多いです。漠然とビジュアルのアウトプットを意識しながら、言葉でイメージを固めていく。そこから発想して、最終的な方向性を決めていきます。そういう点では、コピーが先にあると、イメージが浮かびやすいこともあります。

──2014年から担当されていたルミネのシーズンビジュアルも同じ進め方ですか。

写真家 蜷川実花さんやコピーライター/クリエイティブディレクター 尾形真理子さんたちとつくるルミネの広告では、服から発想してビジュアルを考えていきました。ルミネが季節ごとに打ち出す売り場をつくるためのトレンドテーマから、伝えたいメッセージに合ったファッションのイメージをピックアップしながら、その服にふさわしいシーンを考える。ミッションに向かって手法を考えるという点では同じだったかもしれません。

あと、描こうとする人物像が今の時代に合っているかどうか、世の中の空気感を常に感じとるようにしていました。人種や性別、年齢に対する考え方や生き方もどんどん自由に多様化する中で、広告が時代遅れの価値観を押し付けるようなことが無いように。むしろ少し先へ進んで気付きを与えられるものでなければならないので。それはほかの仕事でも同じです。ただこの仕事で違ったのは、最後にコピーが決まるということ。撮影時点ではコピーは決まっていなくて、ビジュアルができた後に尾形さんが考えていました。

ルミネ 企業広告。

──コピーのレイアウトはどのように考えているのでしょうか。

けっこう理屈で置いています。どういう声の大きさで、どんな話し方なのか、言葉から伝わる感情や想いをレイアウトで表現するイメージです。ルミネの2018年夏の「好きしかない恋なんて。」は、カラッとしながら、身軽で、ぬけぬけとした印象にするため、太めの角ゴシックを斜体で置きました。2014年秋のコピー「運命を狂わすほどの恋を、女は忘れられる。」は、少し大人の女性の揺るがない強さと潔さをイメージし、明朝体をど真ん中に。同じ書体でも...

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