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2020年代のアートディレクション

生活者のささやかな光になるモノを提供し続けたい

金井あき+佐々木 拓(コクヨ YOHAK_DESIGN STUDIO)

これまでのコクヨの事業領域を超えて、社会でまだ余白になっていることをデザインしていくコクヨ YOHAK_DESIGN STUDIO。同スタジオに所属し、グラフィックやプロダクトの領域に留まらないデザインを手がける金井あきさんと佐々木拓さんに話を聞いた。

コクヨ YOHAK_DESIGN STUDIO
金井あき(かない・あき)

1983年東京生まれ。2008年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士課程修了後、コクヨ入社。「THINK OF THINGS」のアートディレクションを主に担当。KOKUYO DESIGN AWARD 2014 社内特別賞、JAGDA新人賞2018、2018ADC賞受賞。

コクヨ YOHAK_DESIGN STUDIO
佐々木 拓(ささき・たく)

1985年東京生まれ。2008年多摩美術大学プロダクトデ ザイン専攻卒業後、コクヨ入社。「THINK OF THINGS」のプロダクトやコンテンツのディレクション及びデザインを担当する他、社内外のクリエイション活動に取り組む。受賞歴にKOKUYO DESIGN AWARD 2005 優秀賞、同2014 社内特別賞、GOOD DESIGN AWARD、UNIVERSAL DESIGN AWARD(独)。

生活者につくったものをどのように見せるか、伝えるか

──お2人はどうしてコクヨに入社されたのですか?

金井:私は、東京藝術大学 デザイン科出身で、当時は平面や立体を気にせず、いろいろなモノをつくっていました。その中で広告やグラフィックデザインに興味が湧いてきて、学部卒業のときはそういう会社を受けたんですが、うまく行きませんでした。そして、大学院を卒業するときに、見つけたのがコクヨのプロダクトデザイナーの公募。グラフィックとジャンルは違うけれど、受けてみようと思って連絡すると、ポートフォリオを見せに来てくださいと、良い返答をいただき、垣根のないひらかれた雰囲気を感じました。それにメーカーであるのでPRだけではなく、モノづくりから関われることにとても惹かれました。

佐々木:私は、多摩美術大学プロダクトデザイン専攻出身で立体物のデザインを主に学んできましたが、具体的に何か特定のデザインを長く続けていくよりも、幅広くプロダクトのデザインがしたいと思っていました。家具や文具などいろいろな領域の仕事ができそうと思いコクヨに入社しました。

──入社してから接点ができて、一緒に仕事をする機会も生まれたのですね。

金井:最初の接点は同期ということ。入社した頃、社内の若手のデザイナーが集まって、東京デザインウィークに出品できる機会があったんです。それが、初めて一緒にした仕事。佐々木君のことは、当時からプロダクトデザイナーでありながら、グラフィックデザインのセンスもあるのを感じていて……。

佐々木:illustratorを使うスピードが早かったんでしょ(笑)。僕は当時、家具のデザインを担当していたのですが、モノのデザインはできても、写真を撮る、どう見せるかといったPRの部分とものづくりとの間に生じるギャップにストレスを感じていて。次第にどのような見せ方や伝え方ができるかということ自体に興味を持つようになりました。純粋なプロダクトの領域以外にも興味が湧いてきたんです。

生活者に見え方や考え方も託す

──それが解消された仕事はありますか。

佐々木:本当にやりたいことができたと感じたのは、「ofon(オフォン)」(2016年12月に販売終了)という家具ブランドの立ち上げに金井さんと参加したとき。コンセプトは、“小さい空間での仕事をとことん楽しむ”。コンパクトオフィスで働く人たちのための家具ブランドです。nendoの佐藤オオキさんにも参画いただき、ブランドサイトやロゴを自分たちで...

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