どんな人でも仕事をする中で、“壁”に突き当たることがあります。ときには、それが仕事の問題にとどまらず、個人の生活や生き方にまで関わってくることも。でも、その悩みや課題は自分ひとりのものではなく、多くの人にも共通するものであることも少なくありません。そこで今号では、読者の皆さんからクリエイティブの仕事をする上での悩みや課題を送っていただきました。その中から今回、職種にかかわらず、多くの方々に共通するであろう課題や悩みを編集部がセレクト。第一線で活躍中のクリエイターの皆さんに自身の経験やこれまでを振り返ってもらいながら、質問にご回答いただきました。
Q:独立するときに、どんな準備をしましたか。
A:万が一、半年間収入がなくても事務所が運営できるように、お金を貯めました。
独立は夢物語ではない
デザイナーの場合、30 歳前後で独立する人が多いと思いますが、個人的には独立しなくてもいいのではないかという考えがあります。独立できるだけの能力があるのなら、そこに留まって、自分ができることをもっと広げたり、スキルを上げた方がよいのではないか。そもそも独立するメリットは何であると考えているのか。世の中で通用するだけの能力が備わっているのか――。若者が軽い気持ちで海外留学をするように独立する人も時々見受けられますが、「みんなが独立するから独立する」のではなく、なぜ自分は独立するのか、まずはそのことを考えてみるべきだと思います。決して華やかなことばかりではありませんから。
僕が廣村正彰さんの事務所から独立したのは ...