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EDITOR'S CHECK

和田興産「ワコーレ」、マルハニチロ「ASIAN ASI」ほか編集部注目のデザイン

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和田興産「ワコーレ」

○AD/福森正紀

神戸で不動産販売事業を展開する和田興産が、CIとツールを一新。マンションブランド名「ワコーレ」を全面に出し、線が特徴的な名刺、封筒などを制作した。「いままで培ってきたブランド力を担保しながら、デザインの力でシンプルに、なおかつディベロッパーという業種を誰が見てもわかりやすいようにしたい。そしてサプライズ要素を入れてほしいというご依頼でした」と、デザインを手がけた福森正紀さん。

コンセプトは「一目見てわかる」こと。ディベロッパーは、建物・街作りに関係している仕事。福森さんは「その一番基本となるものは線である」と考えた。「線でデザインするか、線の力でいかに業種を表すか、いかにサプライズさせるか」と考え続け、二次元であるのに三次元を感じさせるデザインをつくり上げた。

今回のツールは版ズレなど一切許されないデザインだったため、予算に納めつつも、デザインの力を最大限に活かすべく、何度もトライアンドエラーを繰り返したという。

完成後、見た目の新しさから注目度がアップ。名刺のデザインが話のきっかけとなって営業しやすくなったと好評を得ている。

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ASIAN ASI

(マルハニチロ)

○CD/太刀川英輔
○グラフィックデザイン/中家寿之
○フードフォト/Lyie Nitta

缶詰の上面に載せられたのは、アジア各国を代表する食の写真。いまにも匂いが立ち上ってきそうなシズルに胃が刺激される。

缶詰パッケージのデザインを従来と大きく変えたのは、「ASIAN ASI」。今年8 月にマルハニチロから発売されたアジアの食材を用いた缶詰ブランドだ。NOSIGNERこと太刀川英輔さんがネーミングとデザインディレクションを手がけた。

パッケージのコンセプトは「BOWL IMITATION」。「器を模倣する缶」だ。「既存の缶詰のデザインには、上面と側面に写真と文字が入っています。ユーザーに伝える情報としても、デザイン的にも整理されていませんでした。そして、何よりも商品のおいしさが伝わりにくかった」(太刀川さん)。

こうした課題を解決するべく、「ASIAN ASI」では上面に料理を俯瞰した写真を、側面にはブランド訴求の要素を配した。そして商品写真は誰が見ても「おいしそう」と感じる写真を撮りおろした。側面に商品名を大きく記したことで、店頭で並べたときに商品が認識しやすく、見た目にも映えるという声が届き始めている。

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高野文子『ドミトリーともきんす』

(中央公論新社)

○装丁/服部一成

漫画家 高野文子さんの12年ぶりとなる単行本『ドミトリーともきんす』は、鮮やかな色が店頭で目を引く。「高野さんの漫画と言えば『絶対安全剃刀』『おともだち』『黄色い本』など素敵な装丁が多く、表紙の色彩の印象が、記憶の中でストーリーと一体化して強く残っています。今回はこれまでの高野さんとは異質の、科学をテーマにした内容でもあり、違う色のイメージを探ってみたいと思いました」と、服部一成さん。

漫画は、架空の学生寮「ドミトリーともきんす」に住む4人の科学者と一組の母娘との交流を描きながら、湯川秀樹ら実在の科学者たちが残した文章を紹介していく。表紙には、漫画の舞台である寮の建物を使いたいと考えた。

「時空を飛び越えたような話の中で、現代と過去を結ぶ通路みたいで印象的だった階段を、表紙に使うことにしました」。オレンジとブルーの色も、書体の選択やレイアウトも、古さ・新しさを超越したような存在感を意識した。「この本も、何年か経ったときにデザインと内容が一体化して読んだ人の記憶に残るとうれしいですね」。

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ハートウエル

○CD+AD/大垣ガク
○D/柳澤ももこ
○PR/河内宏仁
○企画/白鳥陽子

創業80年を超える今治タオルの会社「ハートウエル」が、現在3年計画でブランディングを進めている。その中で生まれたVIは、タオルの原材料であるコットンをモチーフにした、やわらかな形が印象的だ。「ブランドコンセプトは“手触りのいい暮らし”。そこからやさしさ、幸せ、上質、丁寧といったキーワードを抽出しました」と、デザインを手がけたアシタノシカク 大垣ガクさん。そこに同社の歴史と、今治タオルならではのクオリティ感を加えて表現した。

デザインは、「原田タオル」という社名だった頃の丸の中に「は」が入ったシンボルを踏襲。コットンの中にハートウエルの「H」を入れることで、歴史ある企業文化を新しいVIにも取り込んだ。「社名と共に、今治の老舗企業であることをマークの外に表記することで、歴史と品質のこだわりを直感的に感じるデザインとして完成させました」(大垣さん)。「HartWELL」の「art」を小文字表記とし、その語源である「技術・人工」と近代以降の「芸術」という意味を融合する製品をつくるという思いを込めた。新しいVIは、来年2月から本格的に展開する。

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