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EDITOR'S CHECK

歴史とクリエイティビティを1冊にまとめた「アクアスキュータム」のブランドブックほか

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ブランドブック

(アクアスキュータム)

○CD+C/加藤麻司
○CD+AD/日高英輝
○D/石橋ゆうじ
○I/若林樹、関こまき

1851年にイギリスで誕生した「アクアスキュータム」は、防水布で作ったトレンチコートから始まったブランド。その布の特徴を伝えるために、1950年代にはシャンパンをコートにかけるユニークなプロモーションも行っている。また、多くの著名人が愛用していることでも知られている。日本では30年以上にわたり、レナウンが同ブランドを扱っており、そのブリティッシュスタイルを継承してきた。そして今年、レナウン アクアスキュータムでは日本独自にブランドブック「COAT BIBLE」を制作した。「コートといえばアクアスキュータム。その集大成ともいえるブックです」と、アートディレクター日高英輝さん。

制作の目的は三つ。一つ目は、インナーに向けて、ブランドが持つスピリットやブリティッシュスタイルの極意を社内できちんと継承していくため。二つ目は、長年にわたる顧客へのプレミアムとして。そして三つ目は、まだアクアスキュータムを知らない若い世代にブランドについて伝えるツールとして活用するため。

ブランドブックはトレンチコートの歴史、著名人、クラフツマンシップ、ビンテージコート、アーカイブという5つの章で構成。多くの人が知らないアクアスキュータムを、さまざまな側面から切り取って文章と写真で見せている。制作にあたってはイギリスで取材し、コピーライター 加藤麻司さんが文章をまとめた。また工場に保管されていたヴィンテージコートを特別に借りて撮影しており、ファッション史においては貴重ともいえる写真のほか、コートに関する資料が多数掲載されている。

全体で100ページ強の厚さだが、手にすると、見た目よりも重さを感じる。このブランドらしい堂々としたデザインを目指し、表紙には黒い布クロスを巻いた厚手のチップボールを使い、重量感を出しているからだ。そして、タイトル部分には銀の箔押し。まさに“バイブル”にすべく、さまざまな加工を施すことで本の存在感を打ち出した。一方、重厚な表紙を開くと、中はブリティッシュなスタイルを感じさせるデザインに。「ただビジュアルを見せるだけでなく、テキストもきちんと読んでほしいと思い、文字と写真のバランスは細かく見ていきました」。

このブックは現在、社員、顧客に配布しているが、いずれは店頭に並べることも予定している。

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『くるみの木の日々用品』石村由起子

(文藝春秋)

○AD/那須彩子
○挿画・題字/皆川明
○撮影/鈴木心

ペパーミントグリーンの表紙に、ミナ ペルホネン 皆川明さんが描いた文字が目をひく『くるみの木の日々用品』。これは奈良市郊外で30年続くカフェギャラリー「くるみの木」店主・石村由起子さんが毎日使っているものを紹介した書籍。掲載されている“日々用品”88点を写真家 鈴木心さんが撮り下ろしている。系列店「秋篠の森」、「月草」店内で、食品から雑貨まで多様なものが、それぞれの“らしさ”が際立つ場所を選んで撮影されている。「カタログ本や最近増えている雑貨本との違いを明確に出したいと考えていました。甘くなりすぎたり、ほっこりしすぎたりせず、石村さんらしい芯の太さを感じさせる本にしたいと思い、以前からくるみの木と縁がある鈴木さんに撮影をお願いしました」(アートディレクター 那須彩子さん)。

表紙は鈴木さんの写真を包み込むような気持ちで、フランスの伝統色から選び、質感のある紙ハンマートーンを使用。題字は石村さんと親しい皆川さんにお任せする形で依頼したところ、あがってきたのが表紙に使った1枚の絵だった。石村さんをよく知る二人が参加したことで、本の存在感が一際強くなった。

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「メグとパトロン」メゾン・ド・メグ

(SPACE SHOWER MUSIC)

○AD/メグ、クロネコ

覆面ユニット さよならポニーテールのメンバー メグさんのソロユニット メグとパトロンのミニアルバムは、80sっぽいデジタル感、ゲーム的な楽しいルックに溢れたデザイン。ジャケットを初め、バンドのブランディングは同じく“さよポニ”のメンバー クロネコさんが、メグさんと手がけている。

CD発売に先行し、映像作家大橋史さんがPVを制作。その映像で使われた電子回路の世界やキャラクターなどのモチーフがキャッチーだったことから、ジャケットにもそのイメージを活かした。「普通に4Cで印刷してもPVの素材感や可愛さが活かせないと思い、全てDICカラーで版分けして蛍光色を使用するなど、4C印刷では再現できない感じのカラー配色にしました」(クロネコさん)。

ジャケットには、PVに登場するさまざまな表情と動きのメグさんのキャラクターも登場。アー写はもちろん、CD購入特典のステッカーやSNSのアイコン、Tシャツなどのグッズまで、全てを共通のイメージで統一したことで、「可愛い」、「全部揃えたよ」と言ってくれるファンが増えている。

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Gunosy

○AD+D/徳田祐司

新しいニュース配信アプリとして話題を集める「Gunosy(グノシー)」は、今年3月に新しいVIを制作した。新VIは青、ピンク、赤のラインを引いて飛ぶ紙飛行機をモチーフにしたデザイン。「グノシーは言語解析と人工知能の技術によってユーザーの行動から自動的に選ばれたニュースが送られてくるという仕組み。誰もが簡単にパッとニュースを手にできるグノシーならではの“人格”と、記事というスタイルを表現したいと思い、モチーフとして選んだのが紙飛行機でした」と、アートディレクター 徳田祐司さん。

紙飛行機の本体部分は、写真と文章からなる記事を模したデザインに。そして、バラエティ豊かなニュースサイトであることを、赤(情報性の高さ)、ピンク(カルチャー)、青(ジャーナリスティックな視点)の3色で表現した。

アプリ立ち上げ時に、このVIはまるでスマホの画面をフワッと飛んでいるかのように見える。「動きがついたことで、グノシーというサイトのキャラクターとして完成形になりました」。現在、同社のツール類にも、この紙飛行機が飛んでいる。

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Loretta DEVIL

(ロレッタ デビル)

○CD/大石真規子(Cream)
○AD&D/山﨑泰弘(STANDARD)
○I/tupera tupera

角が生えたカラフルな容器に描かれた個性豊かな顔――。これはモルトベーネプロフェッショナルから発売されたスタイリングブランド「Loretta DEVIL(ロレッタ デビル)」のパッケージだ。イラストを使用したパッケージデザインで独自の世界観をつくりあげているヘアケアブランド「Loretta(ロレッタ)」から発売する初のメンズブランドである。トップサロンとの共同開発によってつくられた同ブランドの遊びゴコロを全開にしたパッケージは、開発メンバーから出てきた「デビル」というキーワードのもと世界観が広がった。サロンに並ぶ商品ということもあり、見た目のインパクトも重視している。

パッケージは、クリエイティブユニットのtupera tuperaが描いたデザイン画を忠実に再現している。成形チューブのジェルワックスは顔をシルク印刷で、ジャー容器のワックスは転写フィルムで顔を印刷している。製品特性に合わせて、それぞれに名前をつけてキャラクター化。6月の発売イベントで発表し、来場者から好評を得たという。なお、デビルはサロン以外では唯一、伊勢丹新宿ヘアケアコーナーで販売中だ。

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