小柳帝『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書1』
(woolen press)
グラフィックデザイナー福岡南央子さんが、自社のセルフパブリッシング部門として「woolen press」を始動。今年2月に色ちゃんの作品&インタビュー集『東京で初めて会った時の事を覚えていますか?』を、9月に『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書1』を上梓した。どちらもシンプルなデザインだが、特徴的な色使いが目を引く。「どちらもシンプルに作りました」と福岡さん。
色ちゃんは作品集としてのクオリティを大事にして印刷を重視、一方、小柳さんの本は手にとりやすいサイズにすることで、じっくりと読んでもらおうと考えた。
これらの本は企画、編集、デザイン、そして流通まですべてを福岡さんが手がけている。「出会った面白いものと誰かをつなぐ立場に自分があると感じたときに、つくろうと思いました」。そんな思いからwoolen pressをスタートした。そのため、本の体裁も中身に合わせて最適な形、デザインを考えている。現在、これらの本はアートブック系書店や雑貨店などを中心に販売されている。
BiS階段「BiS階段」
(avex trax)
独自の道を歩み続けるアイドル“BiS”とキング・オブ・ノイズ“非常階段”が合体し結成されたノイズアイドルバンド BiS階段。その活動の歴史を収録したDVDBOXが発売となった。黒1色で描かれたジャケットはアイドルというより、ハードコアパンクバンドのようだ。コンテンツも、ライブも、活動も、すべてがグチャグチャでハードなBiS 階段。その世界観を表現すべく、グチャグチャなものを一つにまとめてほしいという依頼を受けたのは、アーティスト河村康輔さんである。
河村さんは「BiS 階段のイメージを全て詰め込みながらも、一見アイドルのDVD、CDのジャケットに見えない、カオスなジャケット」を目指した。コンセプトは80年代のハードコアパンクのジャケットのイメージで、黒一色で制作。細かいデザインの再現性を高めるため、印刷時にスーパーブラックインクを使い、黒の重みを出した。
1000セット限定3万円の商品だが、手にした人の満足度は高い。「どこまでこの感じが受け入れてもらえるか少しドキドキしていたのですが、嬉しい反応を沢山いただけているようで嬉しいです」。
日本皮革産業連合会
日本皮革産業連合会は今年9月、ミラノで開催された国際バッグ・雑貨見本市(MIPEL)9月展にJAPANブースを設置した。その目的は、革製のバッグ、鞄、雑貨など、日本の革製品を海外でPRすることにある。海外のバイヤーと日本の革ブランドの出会いの場となるイベントブース、Web、パンフレットなどを彩ったのが、水引モチーフに、革製品を表現したグラフィックだ。
「このプロジェクトは日本と世界の革製品の出会いの場。そんな"はじめまして"が飛び交う場面で、先方に親愛の意を伝え、“日本からの贈り物”として機能する佇まい、デザインとは何かを考えました」と話すのは、アートディレクションを手がけた武井哲史さん。
そして選んだモチーフが水引の結び方の一つである「花結び」。この結び方をモチーフに、「出会えた喜び」を第一印象で視覚的に伝えられる「包み紙」としてのデザインを展開しようと考えた。
花結びは、「何度あっても良い」という意味で、結婚を除く祝辞全般に使われている結び方だ。通常であれば、紅白の紐を使うが、今回は海外で使うことを念頭に、あえて日本らしい色の組み合わせをもとにモダンな配色へ変換した。花結びをモチーフに制作した文字やバッグ、ベルトなどの商品をシンボリックに描き、イベントブースでパターン化して使用した。会場に並ぶ商品を邪魔しないことを意識しながらも、アイキャッチとして機能するように色と形のバランスを整えた。
今後、同連合会は各国の展示会を巡回。それにあわせて、このグラフィックも展開される予定だ。
「ザ・コラーゲン」
(資生堂)
資生堂の美容ドリンク・サプリメント「ザ・コラーゲン」シリーズがリニューアル。コラーゲンの本家であり、美容・化粧品等に携わってきた資生堂が発売する商品として、これまで以上に王道感、本格感を打ち出している。「メインターゲットである20~40代に安心感を与え、これまで以上に資生堂らしさを感じてもらえるデザインを目指しました」と、クリエイティブディレクター 菊地泰輔さん。従来ブランド名に組み込まれていた「SHISEIDO」をはずしたことも今回の施策につながっている。
1996年の発売以来使っているピンクを資産としているが、従来よりも落ち着いたトーンに変更。3タイプ並べたときにピンクのグラデーションとして見えるよう設計している。色とともにこだわったのが書体だ。ロゴと並ぶ「TheCollagen」の英字には、「他社との違いを明確にし、“SHISEIDO”のコラーゲンであることをよりわかりやすく伝える」(アートディレクター 板倉敬子さん)べく、資生堂書体を使用している。さらに本格感を高めるべく、パッケージ前面にはコピーを配置。さまざまな面から、資生堂らしさを追求していった。
フライヤーほか
(デポルターレクラブ HOTAI PANTS)
「男の真ん中に、気合いを燃やせ。」――。こんな挑発的なコピーを掲げたパンツが発売された。これはパーソナルトレーニングを専門とするフィットネスクラブ「デポルターレクラブ」と、かねてより包帯パンツ®を販売するログインのコラボレーションにより生まれたプロダクト「デポルターレクラブ HOHTAI PANTS」。独自の縫製で、商品の真ん中に赤い円が配置されている。「パンツのデザインというと形よりもプリントが主流。せっかく一からつくるのであれば、縫製から考え、ほかにはないものをつくりたかった」と、赤い円のアイデアを出したアートディレクター 田中元さん。そのアイデアを受けて通常より工程には時間がかかるが、量産できる体制が整えられた。
パッケージとフライヤーに登場したのは、通称「デポルマン」。赤い球体をかぶり、包帯パンツ®をはいている。デポルターレクラブからパーソナルトレーナーを登場させたいという希望があり、筋肉隆々の男性を“デポルマン”に仕立てあげた。現在、店頭で販売中の阪急メンズ館には等身大のデポルマンのマネキンも登場。売り場を訪れた人たちの注目を集めた。