日本企業の海外進出、海外企業の日本参入が進む中、西克徳さんは2002年、東京にクリエイティブ・ラボ「ホノルル」を、08年には上海に「グランドデザイン」を設立した。国内外に2つの拠点を持つことで、海外の視点を国内の仕事に、国内の知見を海外へ生かす相乗効果が生まれている。
01 ホノルル/前列左から狩集美穂さん、阿部一雅さん、西克徳さん、辻野貴文さん、竹内春香さん、大久保紀代子さん。後列左から山入端悠さん、星野千衣子さん、田中綾さん(グランドデザイン)、岩立菜々恵さん。
02 グランドデザイン/前列左から福島一生さん、廣田真也さん、张华夏さん、田中綾さん、黄冠勋さん、孫宇さん。後列左から相澤信三さん、周颖さん、黄錦さん、韩晓燕さん、高橋朋子さん、姜曼さん、付菁さん、李晶さん、田中静一さん、孙鸿丹さん。
東京・上海2拠点を行き来する
「自分の未来を、いかにデザインするか?」 これは、仕事をつづけていく中で多くのクリエイターが抱く課題だと、クリエイティブ・ラボ「ホノルル」の代表 西克徳さんは話す。「僕がこの課題を持つようになったのはちょうど2000年代半ば、年齢でいうと30歳を過ぎた頃でした」。
西さんがホノルルを設立したのは02年。その後数年間で海外の広告賞を受賞したことをきっかけに、海外のクリエイターたちと接触する機会が増えた。そんなときにふと感じたのが、「ヨーロッパではいろんな国の人間が混ざり合って仕事をしているのに、どうしてアジアは混ざっていないのか」という疑問だ。日本の企業に目を向けると、当時はまさに多くの企業が海外へ進出していく真っ盛り。その状況を見て「いずれはアジアでもヨーロッパと同じように、いろんな国の人が共に仕事をするようになる。それならば、海外でも働くことができるように、自分の人生をデザインしていこう」と考えた。
そして08年、中国・上海に「グランドデザイン」を設立した。それから5年、いまではホノルルのスタッフが10人、グランドデザインが20人と、倍の人数が働くほどにまで成長した。日本人、中国人、日本語のできる中国人が、それぞれ3分の1ずつの割合で働いており、設立当初は中国へ進出した日系企業の仕事を主に手がけていたが、いまでは中国のローカル企業の仕事が全体の約3割を占めている。