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企業が求めるクリエイター 新しい仕事と役割

経営、技術、デザイン 3つの視点でジャッジする

表参道布団店

今年7月、東京・外苑前にオープンした表参道布団店は、寝具の販売店を経営してきた古賀貴之さんと、ブランディングファーム アーキセプトシティの室井淳司さんの2人が共同オーナーとして設立。経営戦略としてデザインに取り組むことで、実態とブレのないブランドイメージを築き上げた。

01 「表参道布団店」店舗

――「表参道布団店」を立ち上げた経緯を教えてください。

室井▶ 僕は今年4月に博報堂から独立したのですが、昨年秋から独立に向けて準備を始める中で、小さくてもいいから経営を経験したいと考えていました。博報堂時代は主に空間を最終的なアウトプットにする仕事をしていたのですが、クライアントからの相談は新しい事業アイデアやブランド全体の見せ方の相談など、経営に近い内容が多かったんですね。ただ、そういった相談が増え、経営者と向き合うほど、自分が実業をしていないために経営者と温度差を感じるケースがありました。この状況は、クリエイティブディレクターの名刺だけを持っていたのでは、どこまでいっても変わらない。もっとブランドや商品そのものにコミットしたいと思っていたときに、知人から古賀さんを紹介されたんです。

古賀▶ 僕は寝具の販売店を約10年間経営してきたのですが、この業界では20年以上も前のデザインの商品がいまだに売られていて、長い間イノベーションが起きていなかったんです。若い人で、いい布団を購入する人が少ない原因も、そこにあるのではと思っていた。つまり、いまだに花柄がデザインの主流で、しかもその価格帯も安いものは1万円から、高いものは100万円以上するものもある。欲しいデザインの布団がなく、価格設定も不明瞭では、若い人が積極的に買うはずもない。つまり、若い人が欲しくなるようなデザインで、かつ価格設定も明瞭な日本製の布団ブランドをつくることができないかと考えていたんです。それで室井さんを紹介してもらったときに、新しいブランドを立ち上げたいと相談をしました。

室井▶ 僕はそれまで布団業界に関心を抱いたことはなかったのですが、「デザインの力でなんとかしたい」という話が響いて、一緒にやろうと思いました。もともと、日本企業の経営戦略としてデザインを取り込むべきだと考えていたんです。それによって店舗や空間デザインのレベルを上げ、日本企業のブランドイメージを向上させていきたいというビジョンを持っていました。

02~04 同商品。タグについているのがロゴマーク。丸の中に数字の「3」があり、「品質」「デザイン」「価格」というブランドプロミスを表している。

――お互いにどのような役割を担われたのでしょうか。

古賀▶ 僕がCEOとしてマネジメント全般を見て、室井さんがCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)として商品やブランド、空間などコミュニケーション全般を見るかたちで、役員2人で創業しました。

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