第7回「宣伝会議賞」中高生部門に協賛したよつ葉乳業では、協賛企業賞受賞作品をはじめ、複数の応募作品を活用した広告展開を実施した。協賛に期待したこと、また応募作品を見ての感想、さらに作品を活用した広告施策の反響について、よつ葉乳業の大石和恵氏に話を聞いた。
おしゃれさ?体に良い?若年層へのアプローチに悩み
2023年3月10日に最終審査結果を発表した第7回「宣伝会議賞」中高生部門に、初めて協賛したよつ葉乳業。課題は「中高生がもっと牛乳を飲みたくなるアイデア」で、数千を超える作品が集まった。
同社が協賛をした背景にあるのは、牛乳の飲用促進だ。コロナ禍で学校給食や外食での需要が激減。メーカーや生産者団体など、業界を挙げて牛乳消費拡大施策に取り組んでいる。
また若年層の牛乳離れは、長年の業界課題でもある。飲料市場の多様化などを理由に、給食以外で「牛乳」を選び取る機会は減少する。
1967年に設立され、バターや脱脂粉乳の製造からスタートした同社。近年、牛乳やヨーグルト製品をはじめ家庭向けの商品を拡充していくなかで、首都圏においてテレビCMなどの広告出稿を強化してきた。元々業務用の売上げ構成比が高く、家庭向け製品の売上げは3割程度で、現在はその比率を高めるため様々な施策を実施しているという。比較的高価格帯の商品ということもあり、ターゲットは食にこだわりのある40~60代の女性だった。
そのため、「若年層にアプローチする際、牛乳の何を価値として、どのように打ち出せば良いのか迷っていました。“体に良い”なのか、“おしゃれさ”のある広告が良いのか⋯今回の応募作品を見て、“そのアプローチなんだ!”と驚いたんです」と大石氏は話す。
応募作品に多く見られたのが「好きな人と一緒に」「背が伸びるとモテる」といった、「青春」をイメージする言葉。牛乳の機能的な価値だけではなく、牛乳のそばにある日常生活や、感情が描かれていた。
出稿まで3カ月弱 車内広告や楽曲を制作
「広告展開は、応募作品を受け取ってから、企画をスタートさせました。社内、そして広告会社やメディアなど各所の皆さんに協力いただきながら、短期間での実施に至りました」と大石氏は振り返る。
まず大石氏が数千作品から50作品を選び、その後よつ葉グループの社員による投票によって選考を行った。
「広告で発信するキャッチフレーズを選ぶことを通して普段...