リサーチ会社Next Move Strategy Consulting社は、世界のAI市場は2019年の956億ドルから2030年には約20倍近い1.85兆ドルまで伸びると予測している。AI需要がますます高まりつつある米企業の最新事情を、Coast to Coast Marketing Services代表の松本泰輔氏が報告する。
スターバックス
AIプラットフォーム“Deep Brew”導入
スターバックスは2016年からAIプラットフォーム“Deep Brew”を導入し、顧客の好きな飲み物、行きつけの店舗、頻繁に購買する時間帯などから、次はいつ・どの店で何を注文するのかを予測し、オンタイムで個別メッセージを送っている。例えば平日は職場近くの店、週末は自宅近くの店に行く顧客には、曜日別・商品別に割引クーポンを送るなど。その他にも店舗別売上、競合店やトラフィックの増減、市場環境や未来予測などのデータを解析し新出店地を決定するなど、AIを多方面で活用している。
ハインツ
AIケチャップ・キャンペーンが世界中でバズる
ハインツは2021年「ハインツ」の名前を出さずにケチャップの絵を描いてもらうキャンペーンを世界各国で行った。その結果、ほぼ全員が“HEINZ”とボトルに描いたため「ケチャップといえばハインツ」と印象づけるものになった。そして昨夏続編を企画し、AI画像生成ツールの最新バージョンDALL-E 2に同じタスクを与えた。“ケチャップボトル”“トマトケチャップ”“ケチャップ・ストリートアート”などランダムにテキストを入力すると、AIが描いた絵は人間同様にすべてハインツだった。
そこでAIが描いた絵を北米各地の屋外や媒体に掲載する「AIケチャップ・キャンペーン」を開催。さらにSNSで「AIに描いてもらいたいケチャップ」のアイデアを募集し実行すると、世界中へバズが広がった。アート、ライフスタイル、ITなどから一般誌まで多彩な雑誌に取り上げられたのをはじめ、ネットでは画像が11.5億回表示され、自社比較でエンゲージメント率38%増という成功を収めた。
セフォラ
AIによる“ヴァーチャル・アシスタント”が好評
AIによるキャンペーンは、コンピューターがつくり出す文章や画像だけにとどまらない...