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生成AIと広告・マーケティング

チャット検索が広がればメディアのあり方も大きく変わる

山本 覚氏(電通デジタル)

生成AIが登場してからわずか数カ月。今やその驚異的な能力はマーケティングのあり方を根本から変えつつある。この先、業界はどのように変わり、一体どこに活路を見出すべきなのか?既存の予測AIにいち早く生成AIを取り込んでクリエイティブのプロセスを改善する「∞AI(ムゲンエーアイ)」をリリースした電通デジタルの山本覚氏に話を聞いた。

技術がわからなくても言葉だけで指示できる簡易性

これまでにも広告、そしてマーケティング活動のあらゆる場面でAIは活用されてきました。しかし、その活用領域といえば、視聴率の予測や見込み度の高い顧客の分類などの機械学習を用いた分析・予測がメインだったと思います。

その点でChatGPTをはじめとする生成AIが今、産業界はもとより広告・マーケティングの領域で大きな注目を集めている背景とは何か。ひとつは、これまでの活用領域から大きく広がり主にクリエイティブとメディアの領域のビジネスの在り方を変える可能性を秘めていることがあげられます。

今回のAI革命の中でも最大の変化と言えるのが「言語」によって生成ができるようになったことです。たとえば、マーケティングのメッセージを抽出する際に、「Bing検索でA社について調べて、セールスポイントと生活者の悩みのマッチング表をつくってください」と書くだけで、一発で一覧表ができあがってしまう。しかも驚異的なことに、マーケティング効果の予測さえも言葉による指示だけでアウトプットが導き出されます。

マーケターの方々にとっては、業務の効率化やアイデア出しのヒントなど、日々の仕事にも大いに活用できると思います。現時点では、生成AIは文章の要約やフィードバック等、資料のたたき台をつくることに長けていると言えます。

それだけでなく「次に来る確率が高い単語を生成する」という仕組みを生かし「予測」することも可能です。たとえば、効果を予測したい対象(広告コピーなど)と点数の組み合わせをセットで入力して、最後のひとつだけ点数を空欄にしておくと、なかなかの高精度で点数を予測してくれます。さらに常識や背景を踏まえて具体的な説明もしてくれるようになりました。

従来、別のエンジンを利用して予測するためには数千パターンの学習データが必要でしたが、現行のGPT-4では数百件入れれば安定的な回答が得られます。「過去に学習してきた量が違う」、というイメージですね。

ストーリーラインを書くだけで短い動画もつくれる時代に

広告クリエイティブ制作においては、テキストだけではなく動画も含めた自動生成の技術が進化しています。

数秒程度の短い動画であれば言語からでも生成が可能になりました。ストーリーラインを書いてそれらをつなぎ合わせれば、簡易なPVは作成可能なレベルにはすでに達しており、従来のCM素材と遜色ないものがつくれるまでに進化する日も近いかもしれません。

私たち電通デジタルとしても、クリエイティブのプロセスを改善し、キャッチコピーやバナーを自動生成する...

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