人々の生活様式の変化は、小売業にも大きな影響を与える。米国のリテール市場はコロナ禍においても成長を加速。コロナ前後に現れた生活者の変化と、それに対応した米国小売業の潮流について、インテージの小野寺裕貴氏が現地視察に基づいて解説する。
MARKETING KEYWORD
●店舗での新体験 ●非接触
コロナでの制限が成長を加速 各チャネルで人々が求めるものを
「ACCELERATE=加速」、これは2022年1月にニューヨークで開催された小売業向け展示会「NRF※1 Retail's Big Show」のタイトルです。NRFのCEOは、「コロナで生活者の変化が前倒しされ、変化に対応することで成長できた」と2021年の米国小売を総括し、逆境に耐え、成長が加速していることを強調しました。2023年のタイトルは「BREAKTHROUGH=躍進」となっており、今年1年の成長に対する自信が垣間見えます。では、実際の生活者の変化はどのようなものか。「コロナ前からのトレンド」と「コロナで浸透したこと」を考察します。
まず、コロナ前からのトレンドは「売らない店」です。2019年時点の米国EC化率は11%※2で日本の2倍。企業の状況を見ても、2001年にAmazonが初の黒字化※3、Walmartも2007年からECに着手※4、2014年には売上100億ドル※5に到達しており、ECが根付いていました。生活者の来店動機も変化し、商品や体験との出会いを重視するように。
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