国内にも徐々にコネクテッドTV(CTV)の波が押し寄せているが、アメリカでは日本にはまだ存在していないような、CTVにおける広告市場をけん引するサービスが多々見られ始めている。メディアコンサルタントの境治氏が、日本におけるCTVの動向を予測する。

メディアコンサルタント
境 治氏
1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。著作に『拡張するテレビ』など。
テレビ広告市場の2022年は放送収入も視聴率もダウン
2023年のテレビ広告を語る前に、2022年を振り返ります。コロナ禍で視聴率と放送収入は乱高下しました。2020年は、ステイホームで視聴率が上がったのに、テレビ局の放送収入は日本経済に連動し、痛いほど下がりました。2021年には経済の回復で放送収入が持ち直した一方、視聴率は大幅ダウン。そして2022年は放送収入も視聴率も共に大きく下がってしまいました【図表1】。
コロナ禍によりテレビでのネット動画視聴が生活に入り込み、放送を見る時間が大きく減っているのです。
NetflixにDisney+ VOD事業者も広告モデルへ
2022年で興味深かったのが、新興OTTも岐路に立たされたことです。
Netflixは会員数が停滞し、広告付きプランを11月4日に開始しました。ただ、これはほとんど影響しないと考えています。Netflixはスポンサーがつかないエグいドラマも見られるのが魅力です。そもそも広告プランは矛盾があるのです。実際、CMが付いてないコンテンツが多く、広告接触時間はものすごく少ないはずです。
一方でDisney+も広告付きプランを本国で開始しており、これが日本でも始まると魅力的な広告メディアになる可能性は高いでしょう。ファミリー向きの安心して視聴できるコンテンツが多いからです。
SVOD事業者が安価な広告プランを設定するのは世界的潮流で、広告市場の一翼を担う存在になるかもしれません。
CTV広告市場を開拓するTVerとABEMA
2023年は新たな広告市場としてのCTVが成長しそうです。すでにTVerは多くのテレビや外部機器で視聴でき、CTV広告市場を開拓し始めています。テレビ局の決算資料でも配信広告売上が表記されるように...