今月のテーマ:企画の仕事に携わる人のための「情報収集・整理術」
日々、大量の知識と情報をインプットし、その情報から新たなインスピレーションを生み出すマーケターやクリエイターなど企画に携わる仕事においては、「情報の収集」はもちろん「整理」も重要な仕事と言えます。本特集ではマーケティング、広告クリエイティブの仕事において、広くアンテナを張り巡らせ、積極的に情報を収集し、アウトプットにつなげているマーケターとクリエイターが、それぞれの「情報収集・整理術」について解説します。
- 「検索力」が、情報を探すだけでなく企画に際しても重要なスキル。脳内で「どのようなキーワード」で検索するかが大事。
- 世界の事例を探すには「英語」で「画像検索」が最適。ビジュアルのおもしろさは万国共通。
- デジタル時代だからこそアナログ、インターネット時代だからこそ従来のマスメディアから情報を得ることが大事。
企画の仕事に携わる人のための「情報収集・整理術」
「検索力」こそがこれからのクリエイティビティ
現在、私に限らず多くの人たちが企画をするときに、インターネットの検索エンジンを使っていると思いますが、今から25年くらい前、私が会社に入った頃はGoogle社もまだ創業していませんでした。ですから当時、企画をするときは、まず自分自身の頭の中でうんうんと考えてから、書店や図書館に行って調べることが大半でした。
そもそも企画という行為自体が、与えられた課題に対して、自分自身の脳内に、「ある種の検索ワード」を打ち込んで、Searchボタンを押す行為である気がします。脳内にある、それまでの自分の経験や知識の山の中に手を突っ込んで、あれこれ探すようなことをしている気がします。
そのときも重要だったのが、「どんな検索ワード」で、脳内を探求するかという点です。これは当然、人それぞれ変わってくると思いますが、この「検索のキーワードを何にするか」ということ自体がとてつもなく重要で、ここでボタンの掛け違いが起きたら、ガラクタの情報しか出てこないと思います。その検索ワードを選ぶ観点というのがクリエイティビティの重要なポイントのひとつであると思います。
私は特に広告におけるクリエイティビティとは、0から1を生みだすような「純粋創作」では決してなくて、自分自身の脳内の記憶の中の玉石混交の膨大な海の中から、宝石を拾い上げる「記憶を思い出す行為」だと思っています。
世界の事例を探すには「英語で画像検索」が最適
私は異様にたくさんの事例を調べてプレゼン資料に活用しているため、多くの同僚やクライアント企業の方から「どうやって情報収拾しているのか」と質問されることが多いです。そこで必ずお答えしている簡単なポイントがひとつあります。それは、自分が調べたいことを「日本語で検索する」のではなく「関連する英語に翻訳して検索する」こと。なおかつ「普通の検索」ではなく「画像検索」をするということです。
理由は2点あります。まず、当たり前ですが、インターネットの情報は日本語の情報よりも、はるかに英語の情報で溢れているという点。
もう1点は、とはいえ私は英語が苦手なのですが、画像で検索すれば、検索結果としてビジュアルの羅列が表示されるわけで、これなら直感的にピンと来る画像をクリックすれば良いので、英語の苦手な私でもバッチリだという点です。
しかも、英語圏の画像であっても、日本人の私がピンと来る画像というのは、世界共通の"人間にとって普遍的な野太い何か"を含んでいる画像である可能性があると思います。そして、その画像をクリックして、その画像が本来置かれているWebサイトを表示させます。英語の苦手な私は、そのWebサイト自体を翻訳して詳細の情報を得ています。
最初から画像検索ではなくて、普通の英語検索をしていたら膨大な英語の文字の海が現れて吐きそうになりますが、「画像で絞り込んで良さそうなWebサイトを翻訳」という流れなら、右脳ベースでなおかつ効率的に検索ができるのでオススメです。
例えば、ビールのおもしろい屋外広告を探すときは「beer outdoor advertising」などと検索します。もっとぶっ飛んだ事例を探す場合は「beer outdoor advertising」に合わせて「crazy」などを後ろにプラスしたりしています。
検索した情報を選ぶという観点では、心理学で「カラーバス効果」と呼ばれる用語が応用できると思います。これは、あるキーワードを心の中で意識して生活していると、そのキーワードと関連した何かに気付きやすいというものです。例えば試しに「赤色のモノ」を意識してみると、街を歩いていても特に「赤いモノ」が目に飛び込んで来る感覚になるのです。私たちは普段、いろいろなモノを見ているようで、実は見落としています。カラーバス効果には、意識したモノを見落とさせない効果があるのです …