自主プレゼンはクライアントへのエール 大切なのは「魅力の『再』発見」
提案に際して、クライアントの真の課題(イシュー)を発見することは重要です。しかし実際問題、オリエンもファーストパーティーデータもなしでクライアントも目から鱗の真の課題を発見することは難易度が高い。そこで、自主プレゼンで「真の課題の発見」より大事なのは、第三者の立場からの、クライアントの企業・ブランド・商品・サービスの「魅力の(再)発見」だと思っています。
メディアプランニングや広告制作など、デジタルの登場で近年、企業の「宣伝部門」の仕事は大きく変化してきました。今号は、広範かつ新しい役割や機能が求められるようになった現代「宣伝部門」の仕事の世界をクローズアップ。広告界の一線で活躍してきたプロフェッショナルと若手宣伝担当者から、宣伝部門の現在地が見えてきます。
私は約30年と長く、広告宣伝の仕事に携わってきたので、デジタルの登場が宣伝部門の仕事に大きな変化を及ぼしたことを実感しています。中でも、とりわけ大きい変化として3つ挙げたいと思います。
ひとつ目は「仕事量・PDCAサイクルの変化」です。平たく言えば、"忙しくなった"と感じています。例えば新しい車種をローンチするとなると、私の入社当初はテレビCMを数本、新聞広告を数本、ラジオCM、雑誌広告を数本…という時代でした。それが今では、セグメント別、さらに多様なメディアフォーマット別にデジタル広告も制作するようになったため、体感で言えば仕事量は倍になったと感じています。
また旧来、マーケティング調査も1カ月ほどの期間を要し、概ね3カ月単位でPDCAが回っていたところ、近年では施策を行ったその日からデータが収集できる時代になってきています。さながら為替のディーラーのようなスピード感です。
忙しくはなりましたが、成果が把握しやすくなっている分、やりがいもありますし、PDCAを高速で回すことができるようになったため、すぐに改善を加えることができたり、キャンペーンが始まってからでもリカバリーが効くようになりました …