広告マーケティングの専門メディア

           

フランス消費トレンド

ルノーの実験的CM──複合現実が生むエモーション

山本 真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

バーチャルキャラクターを起用仮想から現実へ逃避しよう

ルノーがフランスで新型SUV「カジャー」の実験的な販促ムービーを展開しています。CGで制作された「LIV」という名前のバーチャルキャラクターをアンバサダーに任命し、彼女に現実の新型「カジャー」を運転させ、その魅力(力強さと乗り心地)を伝えようとする試みです。

このムービーのタイトルは「現実へ逃避しよう(Escape to real)」。映像では、まず「カジャー」の目の前にLIVがスタートレックのテレポートのようにノイズを帯びながら現れ、彼女がバーチャルであることが示されます。

場面が切り替わり、ノイズの解消されたLIVが運転席に現れ(カジャーの運転席=良好な状態という意味づけが行われ)、市街地を出発します。峠道を軽快に進み、カーナビのメニューから「現実へ逃避」を選択。すると次第に道は険しくなり、クライマックスではオフロードを力強く駆け抜け、景色を一望できる地点に到着します。

その過程で映し出されるLIVの表情は生々しく、世界が追求する先端テクノロジー(VRやAIなど)の象徴であるLIVの逃避先が「リアルな現実」であるというパラドックス・撞着効果も相まって、妙に運転のリアリティを感じさせられるのです …

あと72%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

フランス消費トレンド の記事一覧

ルノーの実験的CM──複合現実が生むエモーション(この記事です)
パンツで世界が変わる!? フランスの生産国イメージを生かすブランディング
アラブ圏初のマクドナルド──「 スマイル0円」が逆効果になる世界
フランス社会を揺さぶる大規模デモ──溢れる「色」と「モチーフ」
「ブラックフライデー」に反発―過剰消費の流れに歯止めか?
ナイジェリアに「チェキ」上陸 ローカルインサイトに基づく広告が始動
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する