コンビニエンスストア大手の中でも、デジタル戦略においては後発であるという課題意識を持つファミリーマート。一方で、お客さまの利便性を制約なく追求できるという後発ならではのメリットもあると意気込む。デジタルシフトに向けてスピードを上げて取り組む同社に、デジタル化がもたらす可能性を聞いた。
可能性は利便性の向上と新たなお客さまの創出にあり
日本全国で5万7000店もの出店を果たし、今や飽和状態にあると言われるコンビニエンスストア。昨年は過去10年にわたる急成長が初めて陰りを見せ、業界全体に危機感が広がり始めている。しかしながらコンビニエンスストアには、今なおその取り扱いサービスの広範囲さや地域密着型といった独自性まで、次世代のビジネスアイデアが大いに期待されていることも確かだ。そんなコンビニエンスストアの中でも現在、全国に約1万7000店を出店し、毎日1500万人の顧客とのタッチポイントを有する強みを持つのがファミリーマートだ。
コンビニエンスストア業界におけるデジタル化の必要性を、同社 シニアオフィサー 総合企画部 デジタル戦略室長の植野大輔氏はこう語る。
「デジタル化は2つの面で必要と言えます。まずは今のコンビニエンスストアの利用シーンにおけるアナログな部分をデジタル化すること。これについては現在、PayPayやLINE Payなど、スマートフォンを活用したバーコード決済を導入し、より便利でスムーズなキャッシュレス化を進めています。これらの施策は店舗の業務の効率化やお客さまの利便性の向上に寄与すると考えています。
さらに1月下旬からは、インバウンド市場の拡大を背景に、「Alipay(支付宝)」と「WeChatPay(微信支付)」も利用可能となり、コンビニエンスストアとしては最大規模のバーコード決済の取扱いとなる見込みです。もうひとつが顧客データの基盤を活用することで、新しいお客さまを取り込める分野。Eコマースを中心としたサービスや金融、ヘルスケアなど、デジタルならではの新事業開拓のチャンスがあると考えています」 …