2014年11月6日、セールスフォース・ドットコムと宣伝会議は「JAPAN CMO CLUB」を設立した(CMO:Chief Marketing Officer)。日本のマーケターを支援し、その活動や成果、社会的役割を国内外に発信することを目的とした組織で、会員社同士が交流する「研究会」の場を年6回程度開催していく予定。本コーナーでは研究会の様子をレポートする。
写真左から三井住友カード ネットビジネス事業部長 佐々木丈也氏、スマイルズ 取締役副社長 松尾真継氏、KDDI コミュニケーション本部宣伝部長 矢野絹子氏、JAPAN CMO CLUB CMO(Chief Marketing Organizer)加藤希尊氏(セールスフォース・ドットコム マーケティング・ディレクター)、花王 マーケティング開発部門 デジタルマーケティングセンター デジタルトレード室長 本間充氏。
業態自体を見直す必要性 時代の変化とマーケターの役割
7月に開催されたJAPAN CMO CLUBの8回目となる研究会には花王、KDDI、スマイルズ、三井住友カードの4社のマーケターが参加した。
研究会ではまず参加各社に自社のカスタマージャーニーマップを描いてもらっているが、業種、業態の異なる企業のカスタマージャーニーマップを見る機会は少なく、各自それぞれのカスタマージャーニーについての解説に議論も活性化した。さらに今回はカスタマージャーニーに関する議論が発展し、お客さまの視点から見た企業の業態の進化、革新といった経営の根幹に関わるテーマにも話が及んだ。
商品・サービスの機能性だけでは差別化が難しいコモディティ化した環境下、たとえメーカーであっても「モノ」だけでなく、「コト」の戦略が必要という議論の中から、起きた話題だ。
参加メンバーの一人、花王の本間充氏の「最近、社内でECを始めるか否かという議論が起きたが検討の結果、私は当社の場合には自社でプラットフォームを持つECを始めるべきではないと考えている」との提示から議論が深化。本間氏は「製造業のECは、専門特化した商材を扱う企業が成功しているが、当社のような総合的なメーカーの成功ケースは少ない。よくメーカーも『モノ』だけでなく『コト』の発想が必要と言われるが、メーカーにはサービス業のノウハウはない。時代に合わせて自社の業態を見直すべき時ではないかとも考えるが、こういった背景をよく分析しないと失敗をしかねないと考えている」と言及した。
各社のカスタマージャーニーの共有から、自社が「モノ」「コト」「サービス」のどの部分に強みを発揮できるのか、という議論にまで及んだのは、カスタマージャーニーに顧客視点で見た企業の価値を読み解くヒントが潜んでいるからこそ。加藤氏は「モノ・コト・サービス、自分たちの企業がどのバリューを備えているかで、カスタマージャーニーの捉え方が変わってくることがよくわかった」と総括をした。
自分たちが考える業態に囚われず、顧客にとっての価値を基点に事業全体を見直さなければならないほど、社会環境が目まぐるしく変化をする時代。業種・業態の異なる企業が集まるJAPAN CMO CLUBだからこそ、従来の慣例にとらわれないアイデアが生まれてくる場になりつつある。
参加企業の中では若い企業となるスマイルズの松尾氏のマーケティングに対する考え方は、他の参加者も大きな興味を示していた。同社では「自分自身が顧客として感じる『どうしてこうなってしまったのか』という問題意識をビジネス化し、それに共感する人を増やしていこうという考え方を持っている」という。
「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWeb メディア「アドタイ」にてレポート中です。
http://www.advertimes.com/special/cmoclub/