インターナルコミュニケーション新時代 正解がない中で何を目指し、どう実現するか?
リモートワークの常態化で、インターナルコミュニケーションは広報の急務になっています。従業員が会社に期待する報酬も多様になる中で、行動変容につながる社内コミュニケーションの在り方とは。広報が取り組むべき打ち手を考えます。
『一体感』が崩れる、その前に!インターナル広報
兵庫ヤクルト販売は兵庫県内の10市3町で乳酸菌飲料ヤクルトなどの商品を販売している。同社には業務委託の形で働く「ヤクルトレディ」(販売スタッフ)もおり、雇用形態などを背景にエンゲージメント向上が課題だった。
DATA | |
---|---|
創業年 | 1954年 |
広報体制 | GR(グッドリレーション)推進室(計6人) |
課題に挙がっていたのは顧客からのフィードバックの共有だった。そう説明するのは、兵庫ヤクルト販売 常務取締役の阿部恭大氏だ。ヤクルトレディは顧客と対話する際に体調や飲用体感の変化やサービスへの評価を聞く。その内容をA5サイズ程度の紙に書き留めたのが「お客様の嬉しい声」だ。長く紙で共有され、毎週木曜に営業所ごとで共有し合う。
さらに、各営業所(31カ所)から本社に合計約500枚分が配送され、その中から特に良いものを本社の担当者が全社版としてA4で1枚にまとめ、同氏はじめ一部の役員・社員に共有される仕組みだった。しかし、そこには大きな欠点が。「例えばレポートが月初めに回覧され始めたとすると、私の所まで上がってくるのは翌月頭。つまり1カ月以上も掛かっていたのです」。その間、様々な部署を回り回るのだ。「しかし、このスピード感でいいものなのか、疑問に思いました」。
そこでロスなく共有できるように、と活用したのがウェブ社内報。2017年12月より、ベンダーからツールを導入した。
タイムラインは、Facebookのように中~長文を想定したUIで、投稿は、これから仕事を始める人が自己紹介を投稿したり、誕生日の社員やヤクルトレディがいればお祝いメッセージなども投稿されたりしている。また、社長からの経営方針に関するコラムなども時折、投稿される。
このウェブ社内報を通じ、前述の顧客の声も約700人*にー気に共有することが可能となった。
しかし、導入当初は、個人情報に関する懸念などから反発もあった、と述懐する阿部氏。そこで、自らの足で各営業所に出向いて説明した。「ウェブ社内報の内容、その目的などを、時間をかけて...