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『一体感』が崩れる、その前に!インターナル広報

インターナルコミュニケーション新時代 正解がない中で何を目指し、どう実現するか?

加来幸樹(サインコサイン)

リモートワークの常態化で、インターナルコミュニケーションは広報の急務になっています。従業員が会社に期待する報酬も多様になる中で、行動変容につながる社内コミュニケーションの在り方とは。広報が取り組むべき打ち手を考えます。

    これからのインターナルコミュニケーション戦略

    POINT

    ☑インプットだけでなくアウトプット

    ☑ストラテジーだけでなくストーリー

    ☑オンラインだけでなくオフライン

これからのインターナルコミュニケーションの在り方を考える上で、まずは現代における会社と社員の関係性の変化を考える必要があります。具体的には両者がそれぞれに期待することの変化について考えましょう。

会社と社員の関係性の変化

まず会社が社員に期待すること。終身雇用や年功序列といった制度が崩壊する一方で、希少で価値の高いスキルや経験を有する人材の獲得競争は激化し、報酬も高騰しています。「会社が社員に期待する働き方のハードルは、より高く複雑になっている」と言えるでしょう。

そして社員が会社に求めることも変化しています。副業などがより一般化してきたことで、個人の収入のすべてが会社の給料というわけでもなくなりつつありますし、先行き不透明な時代だからこそスキルアップやキャリアップを見据えて一社目を選択する学生も増えています。ますます不確実性の高まる時代の中だからこそ、一人ひとりの生き方も多様になってきているのです。「社員が会社に期待する報酬内容は、その種類も大きさも多様になってきている」とも考えられる現象が起きています。

会社の社員への期待は複雑化し、社員の会社への期待も多様化する。このようになってくると従来のように労働力に対して対価を支払うという単純な関係ではなくなってきます。会社と社員は、より対等にそれぞれが求める価値やリソースを交換するパートナー関係へと、その関係性をアップデートするべき時を迎えています。

パートナーシップ構築のために

つまり、インターナルコミュニケーションという活動の目的も、会社と社員が真のパートナー関係になるためと考えることができます。では、パートナーシップを構築するために必要なことは何なのか。それは「理念」の重なりを実感して動機にすることだと、私は考えています。

理念とは、すべての活動や選択の動機・基準となる羅針盤のようなものです。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発する様々な大きな変化も相まって、様々な常識が覆り、様々な新しい選択肢が生まれ、正解のレールが見えなくなるとともに、絶対のルールもなくなりつつあります。

このような状況の中でも自分らしく選択をし続けるためには、この「理念」に従うほかありません。個人がどこで働くのか?会社が誰を採用するのか?いずれの問いにも確実性の高い正解はなく、無限の選択肢があるからこそ、何よりもお互いの「理念」の重なりを動機としたパートナーシップを重視するべきであり、その状態のことを良いパートナーシップ関係と呼ぶべきではないでしょうか。

企業の理念と個人の理念

企業のすべての活動や選択の動機・基準となる羅針盤「企業理念」があるように、一人ひとりの社員にも自分という個人のすべての活動や選択の動機・基準となる羅針盤「個人理念」があるはずです。かねてより「企業理念」の重要性は様々な場面で言われていますが、これからは「個人理念」の必要性と重要性もますます高まっていくと考えています。前述のように会社と個人の関係性が大きく変化する中で、個人も自分自身の仕事や人生を経営していくという感覚が求められるようになるからです。

会社と個人それぞれの理念の重なりを動機として、それぞれが対等なパートナー関係となること。それこそが正解のない時代の中で目指すべきインターナルコミュニケーションのゴールです。ここからは、その実現のための打ち手を検討する中で意識してほしい3つのポイントについてお伝えしていきます。

インターナルコミュニケーションで目指す状態

出所/筆者作成

インターナルコミュニケーションのポイント①

インプットだけでなくアウトプット

まずひとつ目のポイントは、インプットだけでなくアウトプットを手段として心掛けるということです。インターナルコミュニケーションや企業理念の浸透の手段としては、とにかく伝える、目につく位置に掲示するなど、いかにインプットするか?に重きが置かれがちですが、人の意識や行動を変えるために重要なのはインプットよりもアウトプットです。

図表1は私が個人的にOFMIサイクルと提唱している、個人の成長と学習の過程を表現したものです。価値を生み出す具体的な行動や対外的な発信といった「アウトプット」をすることにより、その行動や発信に対する評価やリアクションなどネガポジそれそれの「フィードバック」を他者から受け取ることができる。そして成長や自己実現などに向けた「モチベーション」に変化が発生し、より能動的に様々な知識や情報の「インプット」を心掛けるようになり、さらに「アウトプット」の質が高まっていく⋯⋯というサイクルを表しています。

図表1 モチベーションを上げるOFMIサイクル

出所/筆者作成

そして...

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