インターナルコミュニケーション新時代 正解がない中で何を目指し、どう実現するか?
リモートワークの常態化で、インターナルコミュニケーションは広報の急務になっています。従業員が会社に期待する報酬も多様になる中で、行動変容につながる社内コミュニケーションの在り方とは。広報が取り組むべき打ち手を考えます。
『一体感』が崩れる、その前に!インターナル広報
何が有効な従業員エンゲージメント施策なのか、迷う広報担当者も多いだろう。しかし、ワークマンの土屋氏はこう指摘する。「データに基づき、上司部下関係なくビジネスを真剣に議論し合う。これこそが最高のコミュニケーションだ」と。
ワークマンは現在、既存店、WORKMAN Plusの店舗合わせて、全国900店舗以上に拡大している。
DATA | |
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創業年 | 1979年 |
広報体制 | 広報部(計3人) |
「会社は社員が自走できるよう、環境づくりに徹するべきです」。そう語るのはワークマンの専務取締役の土屋哲雄氏だ。
同氏は、2020年10月、『ワークマン式「しない経営」4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社)を上梓した。同社が意識的に心掛けている、「しない」という発想。その軸は以下の3つだ。「社員にストレスをかけることをしない」「ワークマンらしくないことはしない」「価値を生まない無駄なことはしない」。そして、この3つ目こそが従業員エンゲージメント向上とも重なる。
例えば、以前は行っていた正月の「だるまの目入れ式」など「価値を生まない」と判断した社内行事は廃止する一方で、競争優位性を長期で保つためには従業員エンゲージメントは重要だ、と土屋氏。会社としての目標も「社員が辞めない会社、友人に勧められる会社」だという。では、どのようにして無駄を省きながらエンゲージメントを高めているのか。話を聞いた。
「まず、当社の経営スタイルは『データ経営』です」。これは、売上、POSデータなど、数値化された結果をもとに従業員と経営者が徹底的に話し合う、というもの。データ経営のメリットには、単に判断軸が属人的でない、などの理由以外にエンゲージメントに関するものもある。「根拠をデータで示すことで、議論する際、立場の上下が関係なくなり、真剣勝負で議論ができるようになります」。そして、その真剣なやりとりが、“最高のコミュニケーション”だ、と土屋氏は話す。
そして、冒頭の「社員が自走できる環境づくり」だが、同社では、上司の理想の姿も明確に定めている。それが、「黒子に徹する上司」だ。どういうことか。「当社では社員のクリエイティビティを開花させる仕掛けがあります。それは上司が関わらない、という...